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再編の針と失われた縁  作者: 神田長十郎
第一章 再編の針
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第二十二話 怪しい人物との遭遇

「必要な書類は、とりあえずこれで全部だよ。

今日はもう大丈夫。ゆっくり休んで。」

鈴木がそう言うと、リリアも微笑みながら頷く。

「アマノ様、本日はお疲れさまでした。

慣れないことばかりだと思いますので、どうか無理なさらずに。」


ネロはそっぽを向いたまま、

「……帰るぞ。」

とだけ言って先に歩き出した。

フィーロが紡の袖を軽く引く。

「行こ、アマノさん。」

紡たちは個室を出て、ロビーへ戻る。


ロビーには、さっきまでいなかった三人の姿があった。

ひとりは白と黒の衣装を纏った、あの静かな青年――

グウェン・スクルディガー。


その隣には、生活支援の女性職員。

そしてもう一人――


見たことのない男性が立っていた。


白と黒が混じりあった髪。

異国風の衣装をゆったりと着こなし、

その佇まいは飄々として掴みどころがないのに、

目があった瞬間、背筋に冷たいものが走る。

まるで深い森の奥からこちらを見つめる

白虎の視線のように。


(……誰だ、この人?)


グウェンが紡たちに気づき、

ふわりと手を振る。

「おかえり、紡君」


その瞬間――

隣の男性がグウェンの袖を軽く引いた。

「なぁ、グウェンさん。

あれがさっき言うてた“異世界人の子”か?」

柔らかな京都弁めいた訛りでグウェンに親しげに話すが、

その声色には不思議な威圧感と甘やかな余韻が混ざり合い

親しみやすいような、近寄りがたいような

妙な迫力が潜んでいた。


「そうですよ」

グウェンが微笑んで答える。


「へぇ……」

男性は興味深そうに紡へ歩み寄ってきた。

その目は鋭いのに、どこか楽しげだ。


グウェンが紡の肩に手を置き、紹介する。

「紹介するよ、こちらはギルドマスターのラオフ・レグナ君です」

「よろしゅうに」

ラオフは軽く手を振り、

次の瞬間――紡の顔のすぐ近くまで、ぐいっと身を寄せてきた。


「ほぉ、これが“異世界の子”かいな。

ええやん、ええやん。おもろそうやないか」

目を細めてにやりと笑う。

琥珀色に紫がかったような不思議な瞳が、

まるで獲物を見つけた獣のように光った。


紡はその得体のしれない怪しさに、

背筋にひやりとしたものが走る。


「今度ギルドにも遊びに来ぃや。

おもしろいもん見せたるわ」

そう言い残し、ひらりと手を振って、

「ほなな」

と軽い足取りで去っていった。



ラオフ・レグナが去っていったあと、紡は思わずぽつりと漏らした。

「……なんか、変わった人ですね」


グウェンがくすりと笑い、紡に向き直る。

「驚かせてしまったね。

ラオフ君はああ見えて悪い人ではないんだけど……ちょっと独特なんだ」


(独特どころじゃない気がするけど……)


紡は苦笑しつつ、ふと気になっていたことを口にする。

「そういえば……冒険者ギルドって、何なんですか?」


グウェンは軽く頷き、丁寧に説明を始めた。

「冒険者ギルドは、この国で“依頼を受けて活動する人たち”の組織だよ。

魔物退治や護衛、調査、資源採取……いろんな仕事を扱っている。

ラオフ君はそのギルド全体をまとめる立場なんだ」


「へぇ……」

紡が感心していると、横からネロが低い声で口を挟む。


「……アイツには関わらないほうが身のためだ」

「え?」

ネロは眉をひそめたまま、ラオフが去った方向を睨む。

「ギルドマスターをやっているくらいだ。

強いのは確かだが……ああいうタイプは厄介だ。

お前みたいなのは特に、目をつけられやすい」


(確かに……さっきの距離の詰め方とか、少し怖かった……)


その時、グウェンの隣にいた女性職員がコホンと咳をついた。

紡はそちらへ視線を向ける。


「先ほどグウェン様の執務室でお会いしましたが、挨拶ができておりませんでした。

私はナディア・エスメラルダ。生活支援部門のまとめ役をしております。

よろしくお願いいたします」

と丁寧にお辞儀をする。


「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

紡もお辞儀を返した。


「ナディア君はとても優秀でね、アマノ君の担当は鈴木君になると聞いているけど、

何か困ったことがあったら、ナディア君にも相談するといいよ」

グウェンが嬉しそうに言う。


ナディアは少し照れた様子で、

「はい、いつでもご相談ください。」

と頬を赤らめた。


グウェンが話題を変える。

「ところでネロ。施設の案内は終わったのかい?」


ネロは一瞬で表情を明るくし、背筋を伸ばした。

「はい! 一通りご案内しました!」


(……さっきまでの不機嫌どこいった?

相変わらずグウェンさんの前だと性格がだいぶ変わるな……)

紡は内心で引きつつも、微笑ましく感じてしまう。


グウェンはそんなネロに優しく頷くと、紡へ視線を戻した。

「僕はまだ仕事が残っているから、このまま執務室に戻るよ」


するとネロがすかさず前に出る。

「グウェン様! 俺も手伝います!」


「そうだね……」

グウェンは少しだけ考え、ふっと紡に目を向けて微笑んだ。

「紡くんも今日は疲れていそうだし、

この後は自由に見て回ってもいいし、自室で休んでもいい。

ただ……あとで“縁”の状態を確認したいから……ネロに呼びに行かせるよ」


「わかりました。……少し疲れたので、部屋で休んでます」


紡がそう言うと、フィーロがぱっと笑顔を見せる。

「じゃあ、部屋の前まで案内するね。こっちだよ」

紡はフィーロの後ろについて歩き出した。

本日も閲覧いただきありがとうございます。


どうしても関西弁キャラいれたいなーとおもって

思い切って入れてしまいました。


似非関西弁で申し訳ないです…雰囲気だけで作っているので

大目に見てください…


一通り再編の針のキャラとおまけでギルドマスターなども出たので

整理するためにキャラ設定紹介を挟もうと思います。


多分これと同時に投稿していると思います。見なくても大丈夫ですが

文にうまく落とし込めなかった設定なども書いてあるので、

良ければご覧ください。

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