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未亡人のマリーゴールド 八幕 夢の中にある明日 part1

 ある水の妖精がいた。妖精には恋している男神がいて、いつも見ていた。だけどそんな女神に幸せが実ことはなかった。どこからか現れた人間の女に、男神は一目惚れし恋仲になってしまう。それを知った水妖精の父親は怒り狂い、「嫉妬」して人間の女を生き埋めにしてしまいます。


 愛していた人間が死んでしまい、男神は涙を流して悲しんだ。それを見た女神は己のやってしまった事の、後悔の念に駆られて水の妖精は、亡くなった人間の墓に座り祈り続けた。次第に妖精の体は美しい黄色とオレンジ色の花に変化していく。この話がマリーゴールドの、花言葉の裏の逸話である。

                                     


 ゆっくり目を開けると、廃墟の天井が視みえる。体を起こし頭に手をあてて大きく溜息を吐いた。さっきまで昔の夢を見ていたからか、頭がくらくらする。あまりいい思い出では、ないからなおのこと辛かった。


「……ふぅー」

 こちらに歩いてくる足音が聞こえてきた。確認するため目を向けるとつい先程誘拐してきた桂木桜と洗脳している、吉正明と刑事の新井刑事の三人が、ゆっくりこちらに歩いてくる。

 三人は私の近くまで来た所で立ち止まった。お目当ての女の子は後ろ手でに縛られていて、大人しくしている。だがいきなり操っていた男が、力が抜けた様に地面に倒れた。

 

 「明さん!?」

 彼女は明の呼吸を確認するため、片膝を付き耳を近づけて確認する。息をしていた事が確認できた彼女はほっと大きな息を吐いた。

 「…………はぁ、よかった」

 彼女は私を憎しみに似たような目つきで睨んでくる。

 「……」

 

 今の私は気分が良かった。多分黒い本の副作用が限界に来ているのだろう、高揚な気持ちが抑えられない。

 「そんなに睨まないでよ、大丈夫よ。私に人の命まで操る技はないわ、眠っているだけよ」

 「……」

 

 廃墟ビルのエントランスにある、モニュメントの上で座っている私は、ハーフアップに髪を結いあげた女の子を見下ろす。高い所から見る景色は楽しかった。


 「あの探偵さんに聞いたことをもう一度聞くわ、私が探している”BLACKBOOK”はどこ?持っているのは確かよね出して!この男は人質よ!」

 明と一緒に操られていた新井刑事がゆっくり私の近くに寄ってくる、刑事の意識は何処かにあるようで虚ろの様子だ。私は右掌にふっと息を吐き一輪の黄色い花を咲かせた。それを男に持たせて刑事は花を持ったまま歩きだす。

 

 「私の黒い本の能力はね」

 先程のように掌に息を吹きかけて、小さな炎の花を生み出した。花は散ってしまい近くのゴミに引火する。炎の勢いが強いのか大きな火が燃え上がる。これを見た桜は言った。

 

 「炎を生み出す能力……ですか、逸材の力を発揮しましたね」

 「あっははは!そうでしょう!あの男の人も驚いていたわ。……さて、質問に答えないとあの刑事さん自殺するわよ?」

 「……」

 「……」

 

 桜は刑事を見ながら焦って口をつぐんでいる。そして俯いたまま答える。

 「……しりません」

 「え……?」

 「ごめんなさい!私は知らないんです、その本は先生が知っている筈です!……だから……」


 

 「…………」

 その言葉を聞いて一瞬茫然になってしまった。確かあの男のは探偵かこの女が持っているから、君のやり方で奪うといいと言われたから、色々手を尽くしたのにこの様になった。さっきだって気力を使いすぎてまで、あの探偵に接触を図ったのにまさかこんな回答が返ってくるなんて。


 モニュメントから静かに降りる。私はゆっくり桂木桜に歩いて行く。内心怒りでどうにかなりそう。でも抱えている問題を解決できる人間が消えてしまっては、今までの苦労が水の泡になる。首を鷲掴みにして脅すように語りかける。


 「…………嘘をつかないで、持っているわよね?」

 桜は苦し気に顔を歪めながら頭を左右に振った。

 「……先生は、持ってはいないとは言ってないはず、です。聞いてみてください、ぐぅぅ」


 握っている手の力が少し緩んだ。空気が一気に肺に入ってきたため、咳き込みながら呼吸を整えた。

 「ゴホッゴホッ!……はぁ」

「だったらもうあなたも殺してあの探偵さんを痛めつけて、無理やり奪ましょうか。もうあの刑事さんもいらないわ!」

 はっとした桜は立花稀華子を振りほどいて走った。

 「新井刑事!!危ない!」

 彼はモニュメントの上まで登っていて今にも火の中に飛び込みそうで、私は手を伸ばして追いかけた。そして肩を掴んめた勢いのまま新井刑事を抱きしめた。火の中に落ちる。綺麗で優艶な炎は一瞬美しく見えたでも、それと同時に熱い熱風を私たちを襲う。……あつい。


「……さくらーー!」

 

 ――――誰かが叫んでる。誰だろう。

 



 「桜――!!この刀を使えーーーー!」

 

 匡人は力いっぱい持っていた刀を桜の方に投げた、声が聞こえた桜は火の中で飛んで来た刀を掴んだ。

 

 

 嵐が突然巻き起こり火まで消し飛んだ。

 桜は刀を抜刀する姿勢、居合の構えをする。力を極限まで溜めて音の速さで抜刀した。

 

 「……………………斬!!」

 

 斬撃は一直線に貫き建物の壁には人の背丈の何倍もの穴が空いてしまった。

 

最初に書いたマリーゴールドの逸話には色々所説あります。その中の一部を抜粋して表現しました。

立花稀華子はBLACKBOOKの多使用のせいで、人間でない者に変化していってます。その衝動を抑えるものとして桜が持っているであろう。原本を奪おうと画策します。立花稀華子は炎の花の妖精をイメージしています。

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