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3.アピールを踏まえてるかもしれない紹介【弐】

「ロドルフォをつれてきたんだからもう一人つれてこないとの! ってことでつれてきたのじゃ! 双子の髪が生えている方じゃ!」

 フィカイアはそんなとんでもない酷い紹介をしてもう一人つれてきた。でも、その酷い紹介はあながち間違っていなくて、ロドルフォと瓜二つの顔を持った髪の毛が生えたおっさんがつれてこられていた。

「こっちはアドルフォ・レトゥールなのじゃ。ロドルフォと双子で、トリパエーゼの現役騎士団長なのじゃ。二つ名は『()ぜる(あば)(うま)』なのじゃ」

「まあ、『スケールモデルの鬼士』よりかは恥ずかしくねぇけどやっぱ恥ずかしいよなー」

「アドルフォてめぇ」

「ちなみにこっちは爆弾を使うのが得意で、具体的には小麦粉を爆発させて敵を倒したのじゃ」

 まともな戦い方は無かったのだろうか。パンツといい小麦粉といい、健全に生きてきた良い子が真似をしたらどうしてくれるんだ。

「そんなふざけた戦い方でも勝てるんですだなー……」

「…………」

「…………」

「なんでそこで苦い顔で黙るんですだか!? しかたねーから儂と拳で戦えですだ!」

「何が仕方ないんだ」

 お前は戦いたいだけだろう。ついでに苦い顔云々については多分こんなふざけたテンションで触れちゃいけない奴だぞ。知らないけど。

「さて……そんな二人に質問なのじゃ。ネージュ・アフィニティーとアルバ・アフィニティーとはどういった関係なのじゃ?」

「それここでする質問か!?」

 初見殺しにも程があると思うんだけど。というかこの空間がフリーダム過ぎて、そろそろ突っ込みに疲れるんだけど。嗚呼、鶴ヶ谷に癒されたい(二回目)。

「友人、腐れ縁、親友……まあ、それ以上聞くのは無粋ってもんだぜ。なぁロドルフォ?」

「アデリーナに怒られるからそういうおちょくり方はやめてくれ……」

 ニヤニヤと笑いながらぼかしつつ答えるアドルフォに、げんなりと呟くロドルフォ。ロドルフォがハゲたのは心労が原因なのかもしれないと、俺は他人事ながら思った。将来ハゲないためにその辺を気を付けてみようとか思ったのはここだけの話である。

 ちなみにアデリーナ……アデリーナ・レトゥールはロドルフォの奥さんだ。そう資料には書かれている。投票の選択肢を作る時点で名前が思い出せず、人気投票から外されてしまったという裏話はここだけの話だ。ちなんだついでに言えば、エミリアという娘もいる。こちらも不参加だから出ては来ないが。

「さぁ、最後に二人にはアピールをお願いするのじゃ。サクサク次の紹介に移りたいからの。手短に頼むのじゃ!」

「……手短に……」

「難しいなぁ……ま、俺は喫煙組が少なくてオジサン寂しいぜってだけでいいかな。んじゃ、タバコ吸ってくるぞ」

 アドルフォはにかッと笑うと右腕を軽くあげて去っていった。うん、自由だ。

「俺はそうだな、いい加減二つ名とパンツの話はやめてくれってところだな。黒歴史にも程がある」

「そのアピールはお主の唯一の面白エピソードを潰してしまうから却下なのじゃ」

「ひでぇな!?」

「なんじゃ? そのつるっぱげ、ぺしんと叩いてもよいのかの?」

「わーったよ。俺から言うことは特にねぇよ」

「ん、それでいいのじゃ」

「……なんかよくわかんねーけど、とりあえず話は終わったですだな?」

 ずっと静かにしていた暁が最後に焦れたように言う。ボケが他にいるとボケられなくてつまんないんだろうな。もう俺にどうしろっていうんだよ。

 早々にメンバーチェンジを切に願うが、叶う気が全くしないのはどういうことだろうな。やっぱり神様は居ない的なあれか。

「よし、じゃあ次の紹介に移るですだ!」

「らじゃーなのじゃ!」

  この二人の会話を聞いていると、語尾に特に何がつくわけでもない俺の喋り方の方がおかしく聞こえてくるっていうのも中々すげぇなと思いながら、俺は静かに二人の進行に身を任せることにした。

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