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4.アピールを踏まえてるかもしれない紹介【参】

「今更な話をするのじゃが、ここは『infiorarsi』のゾーンじゃからの。それに関係する者しか出てこないのじゃ」

「本当に今更だな……」

「よいのじゃよいのじゃ。じゃあ、次の紹介なのじゃ」

 からからと笑うとフィカイアは一瞬消え、直ぐに戻った。そして戻ったときにはフィカイアの隣にもう一人いた。

「幽霊……ですだか? その割には存在感がつよすぎるですだが」

 暁が首をかしげる。そう思うのも無理はない。つれてこられたのは肌は白く、それ以外は真っ黒な女だったのだが、彼女には足がなく、黒い煙のようなものがあるだけだったのだから。

「いいえ、幽霊ではありません。ほら、ご覧の通り」

 彼女は首を振る。するといつのまにか、彼女にはしっかりとした二本の足が生えていた。

「私はアホな主の分身です。ビアンコ・ネーヴェと申します」

 ビアンコは表情ひとつ変えずに淡々と答えた。

「主と言う割には忠誠心的なものが皆無ですだな?」

「あんなアホに忠誠など誓うわけがないですよ。あのアホが地面にめり込むぐらい土下座をしたところで嫌です」

「とか言いつつちゃんと主を大事にしちゃってるんだけどな」

「誰!?」

 真顔で、しかし嫌そうに暁の質問に答えるビアンコ。その答えに対して反応したのは俺ではない。暁でもなければフィカイアでもない。勿論、さっきまでいたロドルフォでもアドルフォでもない。ふわふわと宙を漂いながらニヤニヤと笑う、金髪のイケメンだった。誰だこいつ。イケメン羨ましいぞ。

「この人はブランテ・エントゥージアです。ナンパマスター(笑)とでも呼んであげてください」

「かっこわらい……」

「私が貴方に優しくするとでも思いましたか? 残念ながら主と同列に扱うつもりしかありませんよ」

「ん? よっしゃ、大事にされんじゃん!」

「……おめでたい頭ですね……」

 口では辛辣なことを言いながら、しかし楽しんでいる表情を隠しきれずにビアンコはため息をついた。なるほど、ブランテの言いたいことがよくわかった気がする。

「そんなことよりも、そういう貴方は誰なんですか。いえ、あなた方と言うべきですか。フィカイアさんは分かりますけどね」

「む? 儂ですだか? 儂は黒岩暁ですだ! 仙人と呼べですだよ! ついでに言えば、司会進行的な実況解説役を押し付けられてるですだ! さ、自己紹介も済んだところだし、そこのお前、儂と戦えですだ!」

「はいストップストップー」

 段々俺の役割が暴走するフリーダムな暁を止めることになっているような気がするけど気にせずにラリアットをかます。俺の腕がいたくなっただけだった。こいつ……つよいな……。

「暁さん、ですか」

「仙人と呼べと言ったですだ!」

「暁さん」

「…………」

 決して屈しないビアンコ相手にまさかの暁が折れた瞬間だった。そういえば今のところ誰もこいつのことを仙人と呼んであげてないな……。

 そんなやりとりをボケーッとみていると、ビアンコの目がジロリとこちらを向いて「お前は誰なんだ」的なことを言いそうな感じだったので自己紹介をすることにした。

「俺は……」

「ジョンソンですだ」

「ジョン……?」

「ジョンソンですだ」

「いや、俺は」

「ジョンソンですだ」

「……ジョンソンさんですね。分かりました」

「…………」

 出来なかった。名前すら言わせてもらえなかった。酷い仕打ちだ。ビアンコも頷いていないで色々突っ込んで欲しかった。

「んー……でもお前ジョンソンって顔じゃないよな」

 そんな俺に救いの手を差しのべてくれたのはブランテだった。こいつ、意外といい奴かもしれない。

「ふむ。私もそう思うのじゃ」

 ブランテの意見にフィカイアも乗ってくれる。お? この流れは……!

「どちらかと言えば、もっとそれっぽい……『中村』って感じじゃの」

「そうだな……名前は『(あきら)』って感じだと思うぜ」

「では間をとって『中村・ジョンソン・彰』ということにしましょう」

 さようなら、俺の本名。

 こんにちは、見知らぬ新たな名前。

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