第29話
『この異世界に救済を』以外にも以下の作品を投稿しています。
『水晶』(「小説家になろう」で投稿中);https://ncode.syosetu.com/n5361ga/
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中);https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『この異世界に救済を』のあらすじは、有輝とイルアーナは何とかフォーミランド家の切り札をギフトを用いて成功させるが、この戦いで、フォイリが亡くなってしまうのだった。
その後、有輝とイルアーナさんは私の持っている者の一部を回収し、その後、私を埋葬して、シャルーラのスペーグラ行へと戻った。
そして、二人は、私の死を伝え、その日は、何も話すことがないままに、シャルコンバラの宿へと帰って行った。
その日から翌日。
その朝。
「おはようございます。」
有輝は、自分の部屋から降りてくる。
そして、有輝はフロントにいた女将さんに挨拶する。
「おはようさん!!」
女将さんも挨拶する。
女将さんは、昨日、有輝とイルアーナさんによって知らされている。
フォイリの死を―…。
ゆえに、二人の気持ちを理解している。
(スペーグラである以上、仲間の死から逃れることはできない。
人が生きている以上、親しい者の死から逃れられないように―…。
ここを乗り越えられるかどうかが、本当の意味での人として、スペーグラとしての成長に重要になってくる。
そして、フォーミランド家の切り札が接触してきた以上、この二人はここにいても危ないわね。
二人ともこれから、凄く成長しそうな感じはするけど、フォーミランド家は切り札以外にも正規の軍に強い奴がいる。
逃がすべきだろうか。)
と、女将さんが悩んでいますねぇ~。
答えは決まっていることでしょう。
というか、これしか答えは有り得ません。
「元気がないねぇ~。昨日、フォイリが死んでしまったことかい?」
「ええ、フォイリさんが―…。
だけど、ずっとフォイリさんの死んでしまったことばかり責め続けても意味はない。
それは、昨日中に悩んで、悲しんだ。」
有輝の頬には泣いた跡と思われるぐらいに、皮膚がカサカサしていた。
それに気づいた女将さんは―…。
「あんたは強いのねぇ~、有輝。
そういう弱さをどこかで出せる強さは持っておくべきだね。」
「ありがとうございます。そして、今日からは冷静に今後のことを考えないといけません。
俺は、まだまだ弱い。これから焦っても強くなれるわけじゃない。
フォーミランド家の切り札に勝てるぐらいに強くなるのは簡単なことじゃない。
それに、ここ―…、フォーミランド家の領土ですか? 女将さん?」
確認だね、これは―…。
「そうだね、ここはフォーミランド家の領土の中の街、シャルーラだ。ここは―…。
私は、達観有輝のような歳の頃はそんな精神面で強くはなかった。
だけど、これだけは忘れるんじゃないよ。
人は弱い。弱いからこそ、誰かの支えを必要とし、また誰かを支えられるんだよ。弱さに真正面から向き合った時に、本当の意味での強さが手に入れられるんだ。
泣き言は適度にすることだ。」
女将さんなりの餞別なのかな。
女将さん、有輝とイルアーナさんがここから出て行くということを感じているようだ。
心の中でも言葉にしていないけどわかっているんだ。
これが女の勘、いや、歴戦のスペーグラの勘というものかもしれない。
「はい。俺たちはここから、シャルーラから出て行きます。
フォーミランド家は、俺たちのギフトを狙ってくることは事実ですから―…。」
有輝は言う。
その言葉に女将さんは不思議に思う。
女将さんは、有輝がギフトを手に入れたということを聞いていないのです。
ギフトを迂闊に話すわけにはいかないから―…。
そのことを有輝は理解しているけど、偶然、言ってしまっているようなことになってます。
「有輝―…、これ以上、お前さんらのことに関して言及はしない。
だけど、これだけはちゃんと覚えておきな。
ギフトは、私の故郷ではこう信じられている。
何かに向き合い、そして、そのことに対して真摯になった者の近くにギフトが現れ、それを見つけ、触れる機会を得ることで、ギフトを手に入れることができる。
そのギフトは適材適所のごとく、触れた者に能力を授け、人類の未来を授ける。
だからこそ、ギフトを所有する者は自分のためでなく、自分以外のためにそのギフトの得た能力を使わないといけない。
己のためにだけに使えば、いつか―……、世界を滅ぼす大惨事を引き起こす。
そして、その大惨事を起こす前に、自分以外のためにギフトを使い、世界を知り、知っていることを拡大させ続けろ。
だからこそ、ギフトを所有する者たちは、どんな難しい問題も目を背けず、日々日頃から己の力、周囲の人々、環境へと向き合う。
有輝―…、お前さんの人生に幸あらんことを―…。」
女将さん―…。
……………あなたって、そんなキャラでしたっけ。
あの~、皆さん、そのような視線を向けないでください。
というか、私は、女将さんのキャラは大らかなのは確かだけど、怖くて、あまり人に対して良いことを不器用で言えないものと―…。
……………………………………………。
ゴホン、ということで進めていきましょう。
「はい!!」
有輝はこのように返事をするのだった。
◆◆◆
二日後。
有輝とイルアーナさんは、シャルーラの近郊から少し離れた場所にいた。
荷物をシャルーラで買った「別次元バック」の中に入れて―…。
ちなみに、これ、私の持ち物であり、有輝とイルアーナさんは私が死んでしまったので、それを引き取ったのですね。
一歩、間違えれば泥棒ですが、私はもうフォングラという世界にはいないので、持って行って構いませんよ。
そんなこんなで―…。
「女将さんとはお別れを告げたけど、どこに行けば良いのよ!!」
イルアーナさんが途方にくれるのであった。
そう、有輝とイルアーナさんは、もう、シャルーラにいることはできない。
シャルーラは、グルアルラ国の中でもフォーミランド家の縄張りであり、フォーミランド家の切り札を撤退させている以上、追手がくると考えて、準備ができ次第、シャルーラを経ったのだ。
まあ、シャルーラにまだ、フォーミランド家の伝言が伝えられていなかったので、何とか抜け出すことができたのであった。
この頃には、フォーミランド家の切り札がアルラの所へと戻って、報告しているはずだ。イルアーナの言った言葉の通りに―…。
「まあ、俺らはフォーミランド家に目を付けられた以上、シャルーラで暮らすことはできない。
今の俺とイルアーナでは、また、フォーミランド家の切り札に遭遇することになれば、勝てる保証はどこにも存在しない。
ならば、フォーミランド家の影響が及ばない場所へと逃げないといけない。」
有輝はいたって冷静である。
(スペーグラ行からの指名依頼で罠に嵌めてくることから、スペーグラ行にシャルーラを出ることを伝えるべきではなかったし…な。)
冷静な判断だ。
スペーグラ行と言っても、上流階級に何でもかんでも対抗できるわけじゃない。
それほどに上流階級の権力というものは強いのであり、フォングラのどこでも通用する可能性が高い。
そして、有輝の判断は間違っていない。
「そうね。依頼を介してきている以上、私たちはもうフォーミランド家の影響があるスペーグラ行に向かうことはできない。
だけど、ずっと森で野宿するのは嫌なのよ!!!
どうしよう―…。
何とかしなさいよ、達観有輝!!!」
イルアーナさんは状況は理解しているようだけど、野宿は嫌みたいです。
イルアーナさんは、イルアーナさんだなぁ~。
感情が弱ったり、声を大きくさせたり……と、忙しい人だ。
そんななか、有輝は周囲に人目がないことを警戒して―…。
「イルアーナ。「万能くん」はあるか?」
「あるわよ。」
と、イルアーナさんは「万能くん」をポケットから取り出すのだった。
イルアーナさんの制服のポケットは、一つだけ、世界管理局の技術の枠を注いで作った「次元ポケット」がある。
その中に、「万能くん」を隠しているのだ。
「だけど、「万能くん」をどうするつもり?」
イルアーナさんは、疑問に感じる。
有輝が何を考えているのか、理解できないからだ。
「イルアーナ、世界管理局の上司に電話をかけてくれないか?
たぶんだけど、次の行き場所を教えてくれるんじゃないか?
だって、シャルーラに行く時も教えてもらえたから―…。」
有輝は、世界管理局から次、どこ行けば良いかを聞こうとしています。
有輝は、関数シュミレーションがフォングラの崩壊を回避するためのルートは一つである以上、確実に、関数シュミレーションの言っていることを聞いている世界管理局に聞く方が良い。
まあ、関数シュミレーションに踊らされていることを否定することはできないが、今、その手が最善だと分かっているからこそ、利用する。
「わかったわ。」
そして、イルアーナさんは上司に電話をかけるのだった。
第30話に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
もうそろそろプロローグも終わりに近づいてきます。
これから、本当の物語の開始みたいな感じで―…。
次回の投稿日は、2023年4月15日頃を予定しています。
では―…。




