第22話
『この異世界に救済を』以外にも以下の作品を投稿しています。
『水晶』(「小説家になろう」で投稿中);https://ncode.syosetu.com/n5361ga/
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中);https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『この異世界に救済を』のあらすじは、イルアーナが発見した黒い箱がギフトだとわかり、周囲にいた人々の中にはギフトが欲しいというものが多数現れ、シャルコンバラの宿の女将が早食い勝負を提案し、イルアーナを含めて、ギフト争奪戦が始まるのだった。
『水晶』と『この異世界に救済を』を離れた時間で投稿するのは大変なので、近い時間に投稿することにします。急な変更で申し訳ございません。
ギフト争奪戦、早食い勝負。
全員、最初は勢い良く、大盛りシャルコンバラ定食を書き込んでいく。
そのスピードは大食いファイターと呼んでも、おかしくはない。
だけど、人という生き物が食べられる量は個人によってまちまちですが、限界というものは存在するのですよ。
そう―…。
「うぷ。」
「苦……苦しぃ―…。」
「腹の中に入らねぇ~。」
という、感じで―…。
大盛りシャルコンバラ定食は、よっぽどの大食いでなければ完食することすらできないのは事実だ。
そして、私は黒い箱を持ちながら、勝負の行方を見守る。
(ふん、これぐらいで根を上げるようでは、ギフトを手に入れたとしても、早死にするだけねぇ~。
イルアーナの嬢ちゃんは、苦しそうにしながらも、必死ね。
それぐらいの根性がないと―…。)
女将さんは、当時、心の中でこのように思っていたのだねぇ~。
確かに、ギフトを手に入れて、能力を扱えるようになるということは、そういうことなんよ。
特に、十二国の首脳部に属していても―…。
ギフトは、フォングラにおける最も価値のあるものであり、才能を開花させるものであるのだから―…。
これぐらいのことで、苦しんでもらっては困る、というわけだ。
人生とは、波乱万丈なのかもしれない、ギフトによって授けられた能力を持っている人は―…。
この早食い勝負は、かなり外野の方は盛り上がっており、応援の声がする時もあれば、その動向を静かに見守る人もいる。
私は、後者の方ですけどね。
(イルアーナさんに、この早食い勝負は無理かもしれませんねぇ~。
超大盛シャルコンバラ定食は、シャルーラでも誰一人完食できた人はいないからねぇ~。
ふう~、ギフト―…、皆さんが欲しがる気持ちはわかりますが、手に入れても得があるだけとは限りませんよ。)
と、当時の私は心の中で思いながら、勝負を見つめる。
戦況に関しては、全員が次の一口へのペースがゆっくりとなり、確実にお腹いっぱいになりかけているようです。
一方の有輝は、普通に注文した料理を食べ終えて、ゆっくりと何か考え事をしているようです。
(………スペーグラランクはE級になったけど、まだ、安定的な生活を送れているというわけじゃない。
フォイリさんに、武器や防具を買う時に借りたお金を返せていないし―…。
七つの属性の魔法を扱えるようになったけど、まだまだ、弱いことに違いない。
焦っても良いわけじゃないし、フォングラが滅びる理由もわかっていない。
何を、世界管理局は俺に求めているんだ。
それに、関数シュミレーションなるものも―…。
まあ、これがすべて嘘ならば、考える必要もないけど、フォングラに一か月いて、なぜか、彼らが嘘を言っているようには思えない感じなんだよ。なぜだ?)
大いに有輝は、自らに与えられた使命に関して、悩んでいますねぇ~。
まあ、それを理解するのは、今頃というわけではないので、じっくりと考えてください。
成長スピードも決して、遅い方ではないので―…。一番早いような規格外でもほとんどないし―…。七つの属性の魔法が扱える分に関しては、十分に規格外とも言えるでしょうが―…。
というよりも、早食い勝負に注目しないと―…。
「後、残り…半……分…………。」
最も進んでいる体格のデカい男は、この量―…を食べきれるような感じがせずに、絶望しているのでしょうか?
いや、絶望しているだけではない。残り半分だと思い、気合を入れている。
諦めの顔をしていない。
そんな人の中イルアーナさんは―…。
(苦しい―…。だけど、ギフトさえ手に入れることができれば、フォングラで有名になり、フォングラの滅亡まで救えば、私は―…私は―…、世界管理局で偉くなれる。
そうすれば、今まで下に見てきた奴らを見返して、扱き使ってやる。)
このようなことを心の中で思い、耐えているのですか。
イルアーナさん―…、もう少し真面な動機を持った方が良いのではないでしょうか?
というか、その執念の凄さに、私は脱帽してしまいますよぉ~。
言っておきますけど、イルアーナさんを虐めていた人は誰もいませんからねぇ~、世界管理局には―…。
イルアーナさんの事務仕事が優秀なのは知っていますが、それでも、不貞腐れたり、自分はすごいと傲慢な態度を見せているから、周囲に煙たがられているんですよ。
態度を改めよ。
そうすれば、もう少しイルアーナさんの味方が増えただろうに―…。
私としては、気づいて欲しいよ~。
そんななか、イルアーナさんはペースを落としつつも、食べ続けることを止めない。無理は良くないけど、ギフトを手に入れる以上、避けては通れない。
(イルアーナの嬢ちゃん。気合いがあるねぇ~。ギフトはそういう所を見ていたりするんだよ。
人という生き物は、楽をしようとする。
これは、緊急事態、何かをしないといけない時に、疲弊してしまっていては、良いパフォーマンスを発揮することができない。
そういうことに備えて、普段からパターン化した判断に依存しているのだよ。
だけどね、そればかりに頼りきってはいけない。
時には、パターン化した行動を疑い、しっかりと考え、新たな可能性を探る必要があるのよ。
それを探ることの執念が―…、ギフトを扱う人には必要なのだよ。
国家のお偉いさんどもは、それを拒否して、自らのすべき仕事を完全に放棄してしまっている。
その気持ちになるのは、仕事量が多いから、なら、トップになるべきじゃない。
それでも、部下に頼りながら、部下を上手く使いながら、人々のために、仕事をして欲しいものよ。
人々が気づいていない本当の意味での利益のために―…。
世界を知ること、それが私たちが生き残るための術―…。
昔の賢人の本に書いてあったわ。)
と、女将さんは心の中で思うのだった。
女将さんが心の中で思っていることを当時の私は、理解することができなかったでしょう。
世界を知ることの本当の意味―…。
私たちは、パターン化された思考に依存しすぎることの弊害と依存する必要性―…。
私たちは、進化の中で常に、無意識に適応しようとしていたのでしょう。
そして、これは脈々と受け継がれていることを―…。
多くの人々は、このことに気づきはしない。
それに至るための機会がないのだから―…。
まあ、このことはこれ以上考えても語っている時間の無駄と言われそうなので、話を進めていくことにしましょう。
「おい、超大盛シャルコンバラ定食を食べきる奴なんてでてくるのか~。」
「あれを食い切ったという人は、誰もいないって聞くぜ。」
「早食いって言うけど、今回ばかりは勝負がつかないんじゃないか。」
あ~、早食い勝負を観戦している人たちの中にも、そのように思っている人も出て来ているのか。
まあ、そう思ってしまうのも無理はありませんから―…。
真面なことです。
だけど、その中で―…。
「駄目だ、リタイア。」
「ぐっ、もう無理―…。食べられない。ギフト何か諦める。」
あ~、リタイアする人も出てくるようになりましたねぇ~。
ギフトを手に入れることの大変さに比べれば、超大盛シャルコンバラ定食は難易度が高いとは思えませんが―…。
というか、質問なんだけど、語り手は実際に、この超大盛シャルコンバラ定食を食べきれるのですか?
…………………食べ―…、きれ……ま……す…よ……。
嘘だな。
合理厨―――――――――――――――――――――――――――――――――!!!
お前はなぜ、そこで私の本当の気持ちを当てようとするのかな~。激おこぷんぷん丸じゃ!!
もう少し、この場の空気というものをですねぇ~、読んでもらいたいんですよ!!!
しょうもないことで嘘をついて、実際に超大盛シャルコンバラ定食を食べろって言われて、食べれませんでしたじゃ、カッコ悪いだろ。
俺は、合理的に考えることができるが、語り手を貶めたいからじゃない。
嘘をつかない方が、周りからの信頼度が上がり、語り手にとっても得だからだろ。
気づけよ、馬鹿。
………………………………………………………合理厨―……、感謝なんてしないんだからね!!
キモッ!!
誰ですか、私のことをキモいとか言ったのは!!!
………まあ、機嫌が良いので、私に対するキモい発言に関しては、寛大な心を持つ私が許してあげましょう。次はないから―…。
さて、合理厨には感謝しつつ、進めていきましょう。
ちなみに、私でも超大盛シャルコンバラ定食を食せと言われても無理なので、完食した人はすごいと思います。
……………こういう大人にはなってはいけませんよ。
うん、聞かなかったことにしよう!!
リタイアしていく人は、女将さんがすぐにカウントしていくのだった。
だから、動きが!!!
「後、もう少し―…。」
と、イルアーナさんが心の中で言いそうなことを、もう口にしてしまっています。
というか、イルアーナさんはかなり気合いが入っていますねぇ~。
本当に、執念としか感じられない。
(イルアーナ……、根性はあるんだな。そこは見直したな。)
有輝―…、イルアーナさんのこと、見直しているんですね。
イルアーナさん、自分の欲望に忠実すぎるところがあるけど、そのための根性というものはあるんですよ。
それがイルアーナさんの生命力になっているのかもしれません。
生きる糧とも言うべきでしょうか。
それでも、イルアーナさんにとって胃に納まる量は、とっくの昔に超えてしまっているのは確かでしょう。
限界はとうに越えてしまっている。
後は、気力というか、運というか、いろいろな意味で不思議だとしか思えない要素がどれだけ絡むかということになるでしょう。
(あと一口―…。)
イルアーナさんは、半分以上が脱落する中で、最後の一口へと持っていくことができた。
だけど―…、この最後の一口が彼女に試練を与える。
(苦っ……し………い。だけど―…、だけど―…、私は―…。)
イルアーナさんは思い出す。
世界管理局で受けてきた、様々な酷い仕打ちを―…。
具体例を挙げると、書類を午前中に片付けて、午後、暇にしてゲームで遊んでいると、上司に呼び止められて、新たな資格の取得のための勉強してみたらどうだ、と言われたこと。
この時、イルアーナさんは、仕事を早く終わらせ、その時にハマっていたゲームをクリアしたかったのだ。
要は、上司に邪魔されたと感じたわけだ。
というか、仕事場は、遊びの場じゃないんだけど―…。
仕事を素早く終わらせるのはすごいことだし、その優秀なところは上司の人も認めている。
だけど、自分のことばかりしかできずに、周りで困っている人のことを無視しているのだ。その人を率先して助けてやって欲しいと思っていたのだ。上司としては―…。
そうすれば、上司としても、イルアーナさんを出世させることができるし、上層部にも将来のトップ候補として推薦することができた。
それに、イルアーナさん自身が、地位や役職を求めていること上司は知っているので、だからこそ、上司として、周りを気遣うことができ、周囲の人々のパフォーマンスを最大化して、人望を得て欲しいと思ってのことだ。
上司の人だって、イルアーナさんを虐めたいからそのようなことをしたわけではないのだ。
イルアーナさんは、上司の気持ちを理解できていないでしょうが―…。
そう、上に立つ人間ほど、気遣いは重要だし、何でもかんでも自分の思い通りにして良いというわけではない。
時には強引な方法をとらないといけないことはあるが、それでも、人との信頼がなければ、反発を招くだけである。
イルアーナさんにはそのことを理解して欲しい。
まあ、しばらく無理だろうけど―…。
他にも例はありますが、長く話されても皆さまは飽き飽きしてしまうので、話を進めていきます。
そうして、酷い仕打ちを思い出し―…。
(私が何をしたって言うのよ!! 今日のすべき仕事を終えたのだから、私の好き勝手しても良いじゃない。
私は―…、私は―…、こんなところで負けてたまるかぁ――――――――。)
と、声に出すことはできないほどに、満腹になっているが、このイルアーナさんの思いが、彼女を最後の一口を食すエネルギーに変えるのだった。
執念ですね。
そして、他者のことを理解しようとしないところがあるのは最低ですけど、一つだけ褒めるところがあるとすれば、「こんな人たちに」と言わなかったところだけでしょう。
上に立つ場合、敵はいるかもしれないが、敵を認めさせてこそ一流というものです。
あくまでも、武力ではなく、人間性で認めさせることであろう。人として優れているかが、重要だし、それは敵という存在が心の底から認めてこそであるが―…。
この言葉を聞いて、どのような方法を用いても、敵を屈服させることが当たり前とか、正しいとか勘違いしないでくださいね。
そして、イルアーナさんは最後の一口を食し―…。
「ギフト獲得は、発見したイルアーナの嬢ちゃんだ。」
と、女将さんが勝者の宣言をするのだった。
第23話 に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
イルアーナさんが手に入れるギフトの能力に関しては、すぐにでも分かると思います。このギフトが―…。
次回の『この異世界に救済を』の投稿日は、2023年2月25日頃を予定しています。
では―…。




