視点N 倉庫
彼女たちが歌い踊るメインステージから300m離れた倉庫。ここに約3000人分のパイプ椅子が集まっている。
「にしてもお前が最初から出てくるとはな、裏さん?そう呼べばいいのか。」
「・・・俺はただあの女に腹が立ってるんだ。あいつ俺を殴りやがって。この戦いが終わったら仕返ししてやる。」
「やめとけ。」
「それよりもだ。なんでこのライブに協力的になったんだ?」
「なんでって言われると・・・。そうだな。親のために頑張るあいつが羨ましかった、からかな。」
「・・・。」
「両親を失ってから、俺は自分のために生きてきた。だから他人のために努力できるやつは凄いなって。少々口は乱暴だが。今の俺にはできないことだ。真白、お前も沢山の子供のために頑張ってるんだろ?聞こえてるかは分からないが。」
「十分君も凄いよ。」
少しだけ優しい声になった。聞こえていたみたいだ。
「・・・来たな。」
入り口からヤマタノオロチの巨体が入ってきた。それとその後ろに1人の人影も。
「お、おい!どうしたんだ!お前が来るのはそっちじゃない!」
「どうしたそんなに慌てて、かわいいアイドルたちのステージはここじゃないぜ。マネージャー。」
「き、君たちは!あ、あれ?パイプ椅子、処分したんじゃ?」
「そんなもったいないことができるかよ。餌として有効活用させてもらった。」
慌てるマネージャーに俺が説明した。
「いつから俺を怪しいと?」
「あのツクモは強い部類だがコミュニケーションが取れるほど上級じゃない。でも伊達を狙ってた。ということは誰かが操ってるか指示を出してるか。いずれにせよ、こんなわかりやすい罠にかかるあたり、そこまで主従関係はできていないみたいだな。」
「くっ・・・!ずっと嫌だったんだ。あのアマにこき使われるのが!俺のおかげで活動できているのに。それなのに。」
「それなのに?」
「あいつは動じねえ。今までたくさん妨害したのに苦にもしないで。だからこの力で、今度こそは。い、行けー--!お前!アイツらなんか倒しちまえ!」
弱弱しい叫びと共にヤマタノオロチがこちらに襲ってきた。
「あのクズ野郎はどうとでもなるが、ツクモの方は体のスペアが大量にあるから持久戦になるぞ。大丈夫か?」
裏さんが問いかける。俺は即答する。
「心配するな。」




