96 サリまで生きていたなんて
アヤは水系の畔に出た。
割り当てられた捜索範囲は案外狭く、穴倉の類もそれほど多くない。
まもなく地下の奔流に行き当たったのだった。
どこにも飛び越せるような地点はない。
誰かが飛び込んだとしても、もうその痕跡は見つけられない。
時として水飛沫が盛大に上がり、辺りの岩肌を濡らしている。
照明の光を水中に落としてみても、底まで届かない。
思った以上に深い……。
でも、こうやって光を当てて待っていれば、パリサイドが光を横ぎるかも。
これって、いい手かも。
光の検問所。
水を眺めていて、ふっと、レイチェルのことを思った。
もとより、大親友。
私が片足を失ったエーエージーエスの中で見た彼女の勇気……。
私の命はレイチェルがいてくれたからこそ。
彼女がいなかったら、私はとうの昔にあそこで白骨……。
彼女、辛かっただろうな……。
長官としての責務、ホメムとしての責務。
違法なクローンを造ってまで自分の夫を見つけようとしたレイチェル。
そして、悲しいことに自分が作ったクローンに殺されかけた……。
そう、この地下の水系、もう少し上流、スゥの洞窟で。
ナイフで刺された上にこの激しい流れに落ちれば命はない。
それを救ったのがユウお姉さん率いるパリサイド達だった。
レイチェルが生きていると分かった時の喜び、それは絶対に忘れることはない。
ユウお姉さんとレイチェルの会談。
震えるような感動だった。
冷静を装っていたけど、それはンドペキがそのようにレイチェルを迎えたいと言ったから。
レイチェル自身も、そうしたかったみたいだし、第一、宇宙船に避難する直前のことで、再会を祝して、どころじゃなかったし。
それにしれも、サリまで生きていたなんて。
あれには驚いた。
パリサイドはサリを救っただけでなく、なぜ生かしておいたのだろう。




