95 こんなに奥の方まで来たことない……
「あぅー」
チョットマは声にして唸った。
私って、なんて嫌なことを考えてしまったんだろう。
一瞬でもレイチェルを疑うなんて!
まだあの金貨の呪いが祓いきれていないのか!
くそ!
そうか!
ここに財宝があることを知ったアギが!
アギなら知っていたのかもしれない。
だから、宇宙船で避難せずに、ここに残った人がいるのね!
太陽フレアは怖いけど、それが過ぎれば人類はまた地球に戻ってくるはず。
その時、自分は大金持ち!
ふうっ。
今度は大きなため息をついた。
あさましいわ……。
気を取り直して捜索開始だ。
その前に、やはり金貨は手に入れておこう。
もし財宝目当てのアギなら、一時は隠れているとしても、いずれ戻って来る。
ここで過ごした痕跡がどこかに残っているはず。
というより、財宝の在りかを探す方が手っ取り早いのかしら。
穴倉に入っても何も起こらなかった。
やはり穴倉のせいじゃなかった。
金貨の呪い……。
気を強く持たなきゃ。
もう騙されない。
金貨を拾い上げたが、もうンドペキが現れたりはしなかった。
すぐにポケットに滑り落とすと、その呪いを打ち消そうと、いつも胸に下げているハクシュウの形見を握りしめた。
よし、これで良しと。
穴倉から出たところで立ち止った。
これって、人に見せたら、まずいかも。
シャルタにこんな財宝が落ちていたことが知れ渡ったら、市民が殺到するかもしれない。
禁止令が出ていても、それを破る奴が出てこないとも限らない。
警察だって怪しいものだし。
攻撃隊だけで、ここを守り切れるだろうか。
どうする?
見せる相手はパパやンドペキだけにする?
それがいいよね。
この後すぐに見せないと。
私、変に疑われるの嫌だし。
それより、ここに隠しておいて、そんなことがあったとだけ、報告する?
あっ、そうだ。
こいつが落ちていた場所だけはきちんと覚えておかなくちゃいけないわね。
なにか目印になるようなものは……。
あれ、あれ、あれ。
私、迷ってしまった?
ここ、どの辺り?
こんなに奥の方まで来たことない……。
やばいかも。
目印どころか、帰り道が分からない!
というより、方向感覚さえない!
と、遠くで、人の声がした。




