61 がっぷり四つに組んだ議論に慣れている者は少ない
話の先を急いだ。
議事録を読んでいるなら、この話の行き先はボニボニも先刻承知のはず。
まったりと話す意味はない。
「その意見に対して、反対意見が出ました。その急先鋒がレイミです。彼女はこう言いました」
レイチェルの意向なんだし、ここでそんな枠組みを決めてしまったら、もう二度と後戻りはできなくなる。
マトやアンドロやパリサイドといった区別が生き続けることになって、私たちの未来に禍根を残すことになるのではないか。
「つまり、出自的な少数者を優遇すべきではないという意見です」
「ふむ」
「しかし、議論は白熱しました。特にタァーレルとレイミは譲ろうとしない」
そもそもがっぷり四つに組んだ議論に慣れている者は少ない。
どうしても、議論の決着を模索することより、自説を通すことにのみ意識は向かってしまう。
「だんだん、喧嘩腰になって」
もうあれは、建設的な議論ではなかった。
「最後には二人の言い争いみたいになってしまいましてね。議事録にはどう書いてあったのでしょう」
ボニボニは肩をすくめただけだ。
仕方がない。その時の描写をするしかない。
あんたは結局、アンドロの立場をよくしようとしているだけじゃないの、とレイミは言うのです。
タァーレルは、決してそんなことはない、と言い返すのですが、レイミも矛を収めません。激高しているように見えました。
なぜ彼女があそこまでタァーレルを攻撃するのか、私にはわかりません。
ですが、どうみても、タァーレル個人に恨みでもあるような口振りで、とうとう、こう言ったのです。




