502 ちょっと悲しいだけ……
慌ただしく全員が出ていき、チョットマはイェンヴーリックと二人残された。
「お願いしていいかな」
「もちろんだよ。チョットマ」
「ありがとう。気をつけてね」
「心配はいらないよ。パリサイドが百人だろうが、一万人だろうが、大した相手じゃない」
百人のパリサイドが本気の攻撃を仕掛けてきたら、この星、RCLどころか、銀河の広範な星域でさえひとたまりもないだろう。
それほどにパリサイドの力は強大。
しかも、あれから三百年。
地球から十五光年離れたここまで、生身の姿で移動してきただけでも驚異だが、きっとその間にさらに恐ろしい存在になっているだろう。
しかし、イェンヴーリックは意に介していないようだ。
チョットマにも微かな不安があるだけだった。
「でも、少し待ってね。ノーウィ達が出立するまで」
「ああ。わかってる」
「それに、念のために聞いておきたいんだけど」
「なに?」
「やってきたパリサイド、本当に敵、なのね?」
「ああ。すでにRCLコロニーの星々を壊滅させている」
「そう……」
「心配しなくてもいいよ。チョットマ」
「あなたのことは心配していないわ。あなたが勝つから。でも、ちょっと悲しいだけ……」
「そうか、悲しいか……。でも、もう相手は人じゃない」
ライラが死ぬ直前に話してくれた物語。
あの小さなキュービクルに込められたメッセージ。
それは本当のことだった。
三百年後の世界から、ロームス殲滅のためにやってきたのだという話。
その出立の時が、今、なのだ。
準備はしてきたつもり。
時間を遡る装置も、その乗組員も。
そう。
オーエンやライラやプリブ達……。




