500 謹んでここにご報告申し上げます!
「チョットマ!」
大きな声に振り返ると、イェンヴーリック。
颯爽と会場に入ってくる。
「おおっ」という声が上がる。
「遅くなった」と言いながら、彼はすっと私の腕をとる。
「早速だけど、踊らない?」
「音楽だ! ジルバを! いや、今日はやっぱりワルツがいいな!」
なんだか、調子いいわね、とチョットマは思ったが、決して嫌ではなかった。
「皆も一緒に踊りましょう」
チョットマは、ピルビンにウインクしてみせた。
えっ、俺? というような顔をしたが、ピルビンはすぐさまヒラレインに手を差し出した。
パーティは続く。
ルン、チャッチャ、ルン、チャッチャ。
ヒラレインなど、仕事を途中で抜け出してきた者は、いつしか部屋を出て行ったが、チョットマはこの楽しい会が永遠に続けばいいと思った。
「では、そろそろ発表いたします!」と、イェンヴーリックが部屋の中央に進み出た。
えっ? 何?
「このたび、僕とチョットマは結婚の約束を交わしました! 謹んでここにご報告申し上げます!」
「へえ!」
チョットマは、「わっ!」と息を呑んだ。
「ちょ、ちょっと!」
あっという間にイェンヴーリックにお姫様抱っこされていた。
「皆さん、どうぞよろしく」と、イェンヴーリックはテーブルの間を回りだす。
「やめてよ!」
「いいじゃないか。本当のことだし」
「でも、恥ずかしいじゃない!」
「へえ! 結婚か!」
「単なるお付き合いじゃなく?」
「結婚って、その、一生涯添い遂げるって約束のこと?」
「まさか!」
というような声は掛けられるが、誰もおめでとうとは言わない。
「チョットマがそんなことするはず、ないよ」
「いや、もしかして、もしかするぞ」
「チョットマ、どこか具合でも悪い?」
サリが詰め寄ってきた。
「ずるいよ! さっき私に、百人なんてまだまだ、なんて言ったくせに!」
ようやく床に降ろされたチョットマは、「うん。本当よ」と言った。
「おおっ!」
「うわおっ!」
「キャ! 冷た!」
後ろから盛大にシャンパンを浴びせかけられた。
「子作りは続けるつもりよ。レイチェルの意思を継いで。でも、相手はこの人、イェンヴーリックに絞ろうかなって」
イェンヴーリックが恭しく頭を下げた。
「ということになりましたので、皆さん、どうかよろしくお願い申し上げます!」
しかし、楽しい時間はそこまでだった。




