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496 センチメンタルな気持ちになるのは、いつものこと
見上げると青空。
鳥が群れを成して飛んでいく。
あの頃の情景が胸に浮かんだ。
ニューキーツの荒れ野をサリと駆け回っていた頃のこと。
サリは頼りになるお姉さんのような存在だった。
ンドペキが好きだった。常に意識していた。
何もかもがキラキラ輝いて見えていた。
パパが好きだった。やさしさがいつもに胸に沁みた。
何もかもが楽しく、新鮮な毎日だった。
エリアREFでの墨色の毎日でさえ。
無茶苦茶泣いたこともあったし、悩んだこともあった。落ち込んだことも。
反抗したことも、拗ねた気分でいたことも。
センチメンタルな気持ちになるのは、いつものこと。
特に、今日のようなメンバーでお祝いをするような時は。
もう、みんなみんな、この世にいないけど……。
「それにしても、何度も言うが」
ノーウィはジョッキを飲み干し、新しいビールを注文した。
「レイチェルという人は、最後まで気合の入った人だったんだな」
口の周りを泡だらけにして、口ずさむように言う。
「自分のクローンに、永遠の若さと命を与えておくなんて」
後年になって、パパが言ったものだ。
僕の推理は完全に間違っていた。
恋人探しのお人形じゃなかったんだ。
まさしく、後継者のつもりだったんだ。




