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495 ユーペリオンではその後

「お、やっと主役のご登場」


 ノーウィの声に、チョットマは我に返った。

 葦毛の馬に跨って、女性がひとり、枯葉舞う道をやってくる。



 馬の手綱をテラスの手すりに結わえたサリ。


「今日はいやに風がきついよね」と、階段を数段、飛ぶように登ってくる。


「サリ、おめでとう! 男だった? 女?」

「男。それにしても、さすがに飽きて」

「まだ、百人。まだまだ」

「もう百人。充分じゃない?」

「とにかく、ご出産、おめでとう! で、赤ん坊は?」

「クリニックに置いてきた」




 ユーペリオンではその後、ベビーブームが起きた。


 もちろん、そのリーディング・ナンバーワンはレイチェル。

 二十年にわたってその地位を守り続けた。

 二位に続いたのは、アンドロのマリーリ。そしてなんとスミソとイッジとアングレーヌが三位争い。

 チョットマとサリは出遅れたものの、上位に食い込んでいた。

 その下に続いたのは、シルバックとジル、そしてスゥ。



 サリはあのパーティの後、変わった。

 レイチェル警護の仕事がサリを変えたのだった。


 以前のように髪を伸ばしたサリが言う。


「レイチェルは何を考えていたのやら」

「まあ、そう言わずに。拷問じゃないんだから」

「でもさ、延々と同じことの繰り返し」

「そう? サリもそれなりに楽しんでるじゃない」

「楽しんでる? 冗談じゃないわ。チョットマはそうかもしれないけど」

「ううん。そうでもないよ」

「いつまで続くんだと思う?」

「さあ」


「さすがにもう解放されてもいいと思わない?」

「でもさ、レイチェルの意思を受け継がざるを得ないんじゃ?」

「そうかなあ。もう充分、子供たくさん産んだし」



「まあまあ」

 と、ノーウィがニヤリと笑って無駄話を中断してくれた。


「レイチェルは偉大な女性だった。伝説の偉人。あんたらはそのクローン。レイチェルが意図したことを成し遂げる必要? 義務? がある。立場として。でも、個人的意見を言わせてもらえば、もうその使命は完全に成し遂げたと思うけどね」


 サリは我が意を得たりと頬を緩めた。

 チョットマも、言われなくても、本当はそう思っていた。

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