492 知ってたんやろ やっぱり分かる?
「アヤちゃん、どうしてボニボニって分かったん?」
「消去法」
「せやな。僕と一緒や」
「それに、思い出したのよ」
「何を?」
「事件の直後、ボニボニ、頭頂部に怪我してたでしょ。帽子で隠してたけど。あれって、天井の低いグロットの入り口で頭を打ったんじゃないかな。ぴょんぴょん跳ね飛び移動するし」
「ハハ! そうやな!」
「それにあの頃、ボニボニは食べ過ぎて気分が悪くなった、みたいな顔してた。よくふらついてたし。それって、ソウルハンドを使ったからじゃないかなって」
「さすが、聞き耳頭巾の使い手」
「やめてよ。もうそんなことないし」
レイチェルが立ち上がった。
「スミソ、悪いけどイペをどこかに連れて行って」
連行されるイペを、もう誰も見ようとはしなかった。
「今から、本当のパーティよ」
イコマに乾杯、とレイチェルがグラスを掲げた。
それを受けながら、イコマは言った。
「レイチェル、そろそろ本当のことを言って欲しいな」
「え?」
「知ってたんやろ」
「やっぱり分かる?」
「あのなあ」
「そう。レイミが殺されてすぐにイッジから言われたのよ。まさかボニボニじゃ、って」
「やっぱり」
「でもさ、ちゃんと調べなきゃね。やみくもにってわけにはいかないでしょ。そもそも警察署長だし。それであなたに」
「最初に言ってくれればいいものを」
「ボニボニ、トゥルワドゥルー、イッジに注目って、ヒント出したじゃない」
「まあな。途中でな。イエロータドに言ったように見せかけて、実は僕に言ってたんやろ。分かってたよ」
「なら、いいじゃない。どうせ、トゥルワドゥルーとイッジは犯人にはなりえなかったんだから」
「それにしても……。フウーー。やれやれ」
レイミの遺体をイッジは確認している。
新米警察署長の初めての殺人事件。
ボニボニに懇願されてイッジが見に行ったことはすでに聞いている。
ソウルハンドだと気づいたのだろう。
レイチェルからイッジに渡された書簡。
厳重に封がされてあった。
何が記されてあったのか、想像はできるが、もうどうでもいいこと。




