490 サスケイの賭け
「フム」
コリネルスが、もの言いたげな目を向けてきた。
「サスケイは」
そうか。
どうでもいいことだと思っていたが、話しておいた方がいいかもしれない。
自首してきた理由。
これもスミソに聞きだしてもらっている。本人に。
でも、僕からあっさり話そう。
もうそろそろ、こんな会も終わりにしたい。
「あいつは想像していたんだよ。ボクがさっき言ったようなシナリオを」
サスケイがレイミに脅迫めいたことを言われたのは事実。
同時に、気づいていたんだ。
トゥルワドゥルーが脅されていることも。
シェルタにも同行しているトゥルワドゥルーの一の部下だから。
バーで、レイミとよく話し込んでいた。感づいたのかもしれないね。
で、レイミが殺されて、イペが逮捕された。
イペからは、レイミがサムイ島のレイミだとは聞いたことがない。
なのに、なぜ。
イペは、この人、そっちに行っちゃって、と、軽い調子で言っていたのに。
もう昔のこと、という調子だったのに。
なのに、イペがレイミを刺し殺す?
そして気づいた。
バーのレイミはあのレイミじゃないか。
あいつはあいつなりに考えたんだ。
そして、もう一つ、気がついたんだ。
つまり、ボニボニが真犯人じゃないかってことを。
ボニボニが、トゥルワドゥルーを、ひいてはイッジを守ろうとして、レイミを殺したんじゃないか、ということを。
つまり、イペは、ボニボニの罪を着せられて逮捕された。
ということは、三人の関係を警察は知っているということになる。
サムイ島の出来事を利用されたことになる。
もしかすると、自分も共犯として逮捕されるんじゃないか。
それなら、先手を打って。
まず自分が自首し、イペを救い出し、ちゃんとした裁判の時に、ボニボニの一件、つまり自分が真実だと思っていることをぶちまけようと。
パリサイドではない、しがらみのない中立なコリネルス裁判長に。
一種の賭けだった。
これは、サスケイから聞き出したこと。
ボニボニが、トゥルワドゥルー
僕やスミソが、誘導したんじゃない。
僕がさっき言ったようなボニボニについての考察、サスケイに話してはいない。
あいつの口から、ほぼ同じような内容を聞けたんだ。
正しい、と思っていい。
サスケイは、イペを愛しているんだ。きっと。




