488 「やらせた」という意識
「イペ」
と、イコマはまだ、何とか優しい声を出そうとした。
さっきも言ったように、お前がもっと早くにすべてを話してくれたら、ボニボニに脅されたという主張も通ったかもしれないし、今再現してみせた会話も違ったものになったかもしれない。
でもお前は、ボニボニの名前を出すことを渋った。
それはとりもなおさず、お前がボニボニに「やらせた」意識があるからじゃないのか。
ボニボニを焚きつけて、レイミを殺させたという意識があるからじゃないのか。
主犯は自分。
実行犯はボニボニ。
その名を明かすわけにはいかないと考えたからじゃないのか。
ボニボニがレイミを殺す動機なんてない。だからボニボニの名前を出すわけにはいかない、と考えていたからじゃないのか。
せっかく僕がさっき、トゥルワドゥルーがレイミに脅されていたことを披露したのに、お前はボニボニの名前を出すことを躊躇った。
だから僕はひとつの結論に達した。
元々、ボニボニはレイミを殺すつもりでいた。
ソウルハンドで。
でも、サスケイを自首に誘い出すことを含めて、殺人シナリオの主導権を握ったのはイペ、お前だよ。
そうだろ。
もうイペは一言も発しなかった。
しかし、お前も騙されたんだよ。ボニボニに。
分かってるか?
今、説明したぞ。
洪水の直後、お前の部屋からナイフを持ち出して、レイミの部屋に放り込んでおいたのは、だれだ?
きっと、ボニボニ。
万一、サスケイがお前が請け合ったとおりに自首してこなかった場合、お前を犯人に仕立てるために。
実際、サスケイが自首してくることは賭け。
サスケイに対してお前は別の何らかの仕掛けは用意していただろうが、それでも、不安定な要素が多すぎる。
思い描いたとおりに事が運ばない恐れは十分にある。
そんなときのために、イペのナイフという切り札を持っておきたかったんだ。
そうしておいて、お前の部屋の家宅捜索を行ったんだよ。
お前のナイフが、そこにないことを知っていながら。




