487 自分が罪を犯す理由を知ってもらえるなら
あの夜、ボニボニは何らかの武器は持参していたと思う。
自分のナイフだろうな。
例の汎用ナイフ。
刺殺されたように見せかけておいて、イッジには真相を分かって欲しかったんだ。
ボニボニはこう思っていたと思う。
自分がソウルハンドを使えることをイッジは知っているだろう。
元警察署長として、部下の戦闘能力を把握しているはず。
イッジがこくりと頷いた。
イコマは間をおかずに話し続けた。
イッジに口を開かせたくない。こんな話について。
ボニボニは悩んだはずだ。
他人に罪を着せることに成功した暁に、イッジにだけは自分が犯人だと看破されてほしい。
そんな気持ちがあったと思う。
イッジなら、真相に思い至れば、黙っていないだろう。
いや、トゥルワドゥルーとの結婚を控えている……。
いや、その婚約さえも……。
彼女はどうするだろう。
もしイッジに犯人だと名指しされ、罰を受けることになっても、それはそれでいい。
どうなろうと構わない。
どうせ、もうかなわぬ恋。
イッジに、自分が罪を犯す理由を知ってもらえるなら。
「僕がさっき提示した謎、思い出して欲しい。なぜ水系に放り込まず、ソウルハンドという特殊な方法で殺し、かつ、そこに死体を放置したのか。もうこれ以上、説明するまでもないと思う」
結局、ボニボニは持参したナイフを取り出す必要はなかった。
目の前にレイミのナイフがあったから。
緑石のネックレス。外して水系に投げ捨てた。
捜査をかく乱するためじゃない。
証拠品。つまり、トゥルワドゥルー犯人説と結びつく証拠となるもの。
それに、こんなもの、という気持ちだったんだな、きっと。




