485 きっとこんな風に
バーで、レイミの昔の恋自慢の話を聞いていたんだな。
そこにヒントはないだろうか。
ボニボニは、宇宙船スミヨシに行き、データベースにアクセスしたんだ。
そして知ることになった。
非常に好都合な事実を。
六百年前、タイのリゾートアイランド、サムイ島で起きた出来事。
その当事者である三人の関係を。
そこでボニボニは作戦を立てた。
まず向かいに住んでいる顔見知りのイペに近づいた。
そして、世間話を装って、声を掛けた。
きっとこんな風に。
バーのダンサー兼ホステスのレイミって知ってる?
食料局に勤めている人。
鎌を掛けたんだ。
あの人、あまりいい噂、聞かないよね。
とかね。
ボニボニは、レイミをやんわりけなしながら、イペの反応を待った。
警察としても、一応、注意はしておかなければと思っているんだ。
ああいう人を野放しにしておくのは、ユーペリオンにとって、危険だからね。
アリの一穴っていうけど、彼女の何らかの行為によってこの小さな社会は崩壊に向かうかもしれない。
そんなことがあっては絶対にいけない。
どう思う?
とか、言って。
お灸をすえて欲しい、とかなんとか、そういう言葉を引き出せればそれでいい。
そうしたら、イペにおびき出し役になってもらう自信があった。
はたして、イペの反応は期待以上のものだった。
つまり、レイミに対する嫌悪感をはっきり示したのだ。
ボニボニはそれを増幅させた。
ちょっと耳にしたんだけど、イペ、あんたも、もしかして被害を受けてたり、嫌な思いをさせられてるんじゃない?
今のことかもしれないし、昔のことかもしれないけど。
イコマの仮説の分岐点。
決めかねていた二つのパターン。
それがここだ。
ひとつの仮説が崩れ、もうこれに違いないとイコマは考えていた。
つまり、サスケイが自首してくるくだりのシナリオを誰が書いたのか。




