483 湯気の立つカニの爪のボイル
コリネルスが、目を上げて、ニッと笑った。
すでにこの男はすべてお見通しだ。
東部方面攻撃隊の参謀、ハクシュウの右腕。状況を見通すことにかけてはこの男の右に出る者はいない。
イコマが事実を捻じ曲げようと思っても、この男は騙せない。
その意味では、イペはボニボニに脅されて、という結論はなかっただろう。
それにしても、イッジ、すまない……。
「ボニボニが……」
ンドペキの口からも呟きが洩れた。
レイチェルが眉間に皺を寄せた。
チョットマが頭を抱え込んだ。
スミソはニヤリと笑い、なぜかホッとした顔を見せた。
アヤは微笑んでいた。
コリネルスはすでに表情を消していたが、落ち着いてワインを口に運んでいた。
イッジは気丈にも、瞳にわずかな揺らぎを見せつつも、見つめ返してくる。
「キョー・マチボリーに調べてもらった。今言った仮説の塊を強化するためにね。僕はこれが決定打になると思った」
スゥが、ご褒美よ、と湯気の立つカニの爪のボイルをイエロータドの元へと運んでいく。
シルバックとジルが期待を込めてそれを目で追った。
ボニボニが昔のデータを調べた形跡がないかどうか。
宇宙船スミヨシのデータベースにアクセスした形跡は。
彼は警察署長。それが許されている。
すると、信じられないくらいに明瞭な回答が返ってきた。
ひと月ほど前、レイミの過去を調べていたとね。
事件前のことだよ。
事件後じゃない。
かといって、トゥルワドゥルーに紹介するための身辺調査じゃない。
紹介してからかなり経ってからだ。
その後すぐに、サスケイとイペの過去も調べていたとね。




