479 これで、二つのことが分かった
「タァーレルの葬送の列の後ろで、チョットマがイペと話をしたんだ」
その時、イペはこう言った。
サスケイとはふた月ほど前から付き合っている。
そして付き合い始めてすぐ、イペ自身がサスケイに、食料局のレイミ、バー・ヘルシードのホステスのレイミは、あのサムイ島のレイミだということを教えたのだと。
なんでもない会話、とチョットマは受け取ったようだったが、それは大きなヒントになった。
実はこの話、イエロータドの話とかなり食い違う。
サスケイとレイミは親しく飲んでいたというんだ。
イエロータドの表現では、よく話し込んでいやがった。
僕はこういう点でイエロータドの目は確かだと思う。
レイミはホステスとして仕事に励んでいたのだろうが、サスケイはレイミに惹かれる部分があったんだと思う。
サムイ島で自分をコケにした女が、今目の前にいる女だと知りながら、サスケイは今まで通りにバーのボックス席ではしゃいだり飲んだり話したりするだろうか。
いや、できるだろうか。
イエロータドの目を騙せるほど自然に。
「僕はできないと思う。となれば、これで、二つのことが分かったんだ」
ひとつ、とイコマは指を折った。
「イペはチョットマに嘘をついていたということ」
ふたつ。
「サスケイも嘘をついていたということ。警察署で語ったいきさつは嘘ばかりだった。イエロータドの話と食い違う。いずれも、イエロータドの客を見る目がいつもながらに冴えわたっていたとしてだ」
イエロータドは何も言わなかったが、自信ありげに頷いてみせる。
サスケイの供述は信用できない。
さっきスミソが言ったとおり。
サスケイの供述に具体的な証拠や新たな事実、犯人しか知りえない何か、そんな話は何もないんだ。
僕は、この時点でサスケイを容疑者リストから消した。
当時、トゥルワドゥルーの容疑は濃いままだったけど、それもやがて消えた。
理由はさっき言ったとおり。
代わりにイペの関与が急浮上してきたというわけだ。
イペが立ち上がった。
「私は被害者よ! 脅されたのよ! 私は!」
と、金切り声で叫んだ。




