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478 ある事実が僕の目の前に現れた

 フェアリーリングのいわば裏口から入って、何も言わずにレイミに背中から抱きついた。

 想定通り、レイミは背後には全く注意を払っていなかった。


 ソウルハンド。


 崩れ落ちたレイミはナイフを握っていた。



「犯人はその場で思いついたんだ。これは使えるぞ。つまり、万一の時にはイペに罪を着せられるかもしれない」


 ナイフをレイミの胸に突き刺した。


「以上が犯行当日」



 そして犯人はその機会を待っていた。


「都合がいいのか悪いのか。洪水。水が引いた直後、人々がガーデンに集められた時、犯人はイペの部屋に忍び込み、いや、忍び込む必要はない。ドアは流されている。ナイフを持ち出し、レイミの部屋に移しておいたんだ」


 そうすればレイミがナイフを持ち出していなかったことになり、レイミの胸に突き刺さったナイフはイペのもの、ということになる。


「犯人にとっては、好都合な二の矢が転がり込んできた気分だったろう。洪水はね」



 イペがまた目を上げたが、やはり何も言わない。


 今の推論は間違っているのだろうか。

 しかし、もうイペの声は聴きたくない。

 間違っていようが、大した問題じゃない。



「話を少し早送りするよ。尋問の時だ」


 ボニボニはサスケイが自首してきて、なんと表現すればいいのだろう、つまり、晴れ晴れとした様子だった。

 事件解決を喜んでいるように見えた。

 そして、イペのナイフは盗まれた、そういうことにしておきましょう、とあっさりイペを釈放した。


 サスケイの自首という状況の変化はあったにしろ、イペを拘留した理由であるナイフの件はなんら解明されていないのに。


「警察にとって、イペのナイフの件はどうでもよくなっていたんだ。むしろ、ナイフの一件はレイミ殺害とは無関係だった、単に盗まれたのだ、という結末の方が都合が良くなっていたんだ」



 仮説の上に積み重ねた仮説。


「でも、尋問の後、ある事実が僕の目の前に現れた」


 それは、と言いかけて、チョットマを見た。

 傷つけることになるかもしれないが、許してくれるだろう。

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