476 家宅捜索
「家宅捜索のことに話を戻そう。スミソ、どんな様子だったか話してくれるか?」
「イペの部屋の方は、洪水に襲われていた。泥にまみれて何かを見つけるのは大変だった。でも、僕は知っていた。開封されていないナイフ。泥の上に置かれてあった」
「チョットマが泥の中から拾い出して、そのまま置いてきたからね」
スミソが女性らしい表情で、ニコッと笑った。
スミソとアヤとチョットマがゴーダの亡骸を海の底から運んできたとき、イペの部屋で一服した。
パリサイドの身体から戻れなくて困り果て。
その時、チョットマがまだ包装されたままのナイフを泥の中から見つけている。
「しかし、それ以外には何も見つからなかったんだね。元から使っていたはずのナイフも」
「そう。で、イペの逮捕に踏み切ったわけです。袋に入ったナイフが流されなかったのに、むき出しのナイフが流されてしまったわけがない、ということです」
「レイミの部屋の方は?」
「同じように新品のナイフが一本と使い古しのナイフが一本。それ以外に気になるものはなかった」
「宝飾品の類は?」
スミソが首を横に振る。
「もうイッジが持ち出した後だった?」
「ということになりますね」
「で、さっき確認されたわけだ。レイミの部屋にあったその使い古しのナイフ。それがイペのものだったと」
イコマはもう一度ナイフを取り出した。
「最後の尋問、ナイフだけが話題になっていた。それもおかしいと思い始めたんだ。あえてナイフだけに注意を向けようとするかのような」
死因がソウルハンドだという仮説が正しいとするなら……。
僕にはその時、さっきの仮説の中で抜けている部分、つまりレイミの胸に突き刺さっていたナイフは誰のものだったのか、というピースが見えてきた。
そもそもソウルハンドとナイフ、どっちが殺傷力は強いだろう。
ソウルハンドの方が強いとしても、それだと犯人像は絞られてくる。
あえてソウルハンドを使わなくても、ナイフで刺した上で水系に放り込めば済むものを、いや、ナイフを使う必要もない。突き落とせばいいものを。
なぜ……。
「そこにもう一つの仮説を積み上げることによって、僕には犯人が見えてきた。皆はどうだい?」
そういうことだったのね、と呟く声があった。




