473 事件解明の本筋ではない 知らなくてさえいい
やはり、スミソは端的に説明してくれる。
「水が引いた翌日のことです。署長から指示を受けて、ナイフ持ち出しの有無を資材庫に照会したところ、判明したことがありました。イペが新しいナイフを申請し、それが受理されて、イペの元へ配送された記録があった。申請日はレイミが殺された翌々日」
「申請理由は?」
「飲食店開業準備のため」
拘留されたイペの供述。
新しいナイフを申請したのは、料理が好きだから。
「スミソ、僕が同席した尋問、あれは最後の尋問だよね。それまでにも当然、尋問はされていたよね。最後の尋問で、それまでとは変わったことはあるかい?」
「ないですね。毎度、同じやり取りの繰り返し」
「あの調子?」
「そう」
イコマはスミソに笑みを送った。端的で的確な返答をありがとう。
微笑んだままイコマは言った。
「正直言って、手緩い尋問だと思ったんだ。サスケイが自首してきたからと言えなくもないが、自首してくる前からあんな調子じゃ、事件はまともに解決しない。今言ったように、イペは自分のナイフについて真実を話していた、としてもだ」
最終的には、ボニボニから、部屋にナイフは一本しかなかったと詰められると、誰かに盗まれたとイペは供述を変えた。
しかし、ナイフの件など、本当はどうでもいい。
直接の死因ではない、つまり凶器ではない。
いいかい。
もう一度言うよ。
「ナイフの件など、本当はどうでもいい。直接の死因ではない、つまり凶器ではない」
事件解明の本筋ではないし、結果だけを聞く人は知らなくてさえいい。
ただ、イペのナイフがなぜレイミの部屋にあったのか、その疑問だけは解明しておかなければ、すっきりしないだろう。




