466 僕にばっかり話をさせないで
「犯人の輪郭だけでも見えてきた人、いないか?」
コリネルスが微笑した。
「おっ?」
「立場上、控えさせてくれ」
「そうか」
アヤが目を輝かせた。
「じゃ、アヤは?」
「私、分かったような気がする」
「そうか! 話して」
「ううん。自信ない」
自信がないのはこっちだって同じだよ。
「生駒綾さん」
出席を取るようなそんな呼び掛けられ方をして、アヤは嬉しそうに笑った。
「そお? じゃ」
お父さんと同じ意見だったらいいんだけど、と言いつつアヤは、イッジに目をやった。
そして、もう一人、俯いている女に。
「イペ、事実を話したら?」
そう言ったアヤを安心させようと、イコマも同じようにイペに語りかけた。
「僕にばっかり話をさせないで。すべてを最もよく知っている君から、そろそろ話して欲しいね」
優しい声で話しかけたつもりだったが、話し渋るイペを見ていて、気分が悪くなってきた。
この期に及んでまだ、シラを切る。
こんな女がチョットマの友達だったとは。
レイミより質が悪いかもしれない。
怒りを堪えて、イコマは再び話しかけた。
「僕はサスケイを釈放するよう、ここにいる皆に事情を説明するつもりだ。いや、ユーペリオンの市民全員に説明するつもりだ。そうすれば新たな証言も出てくるだろう。すべてがはっきりする」
コリネルスがイペを見ている。冷たい目で。
隊員達も、レイチェルも。
そしてチョットマ、スミソも。
ここにいる者の多くが。
その視線の矢が何本もイペに突き刺さっていく。
アヤが厳しい声で促した。
「話しなさい。私にも分かったわ。貴方が何をしたか」
「でも、私はパリサイドじゃない! ソウルハンドって何!」
「誰も、君がソウルハンドでレイミを殺した、なんて言ってないさ。何があったのか、話して欲しいだけ」
「なにもない!」
「そうか。では、聞こう。あの時、君はガーデンから出てきた。ちょっと通り抜けてきた、と言ったよな。どこまで行ってたんだ? あんな時刻に」




