460 もう、自信を持ってもいいかも
ん? と、疑問の視線を投げて来る者が多い。
「分からないか? レイミを亡き者してくれたことに、もしかするとありがたいと思ったかもしれない。しかし、人殺しに掛ける言葉はない、ということだったんだと思う。そう思えば納得がいく」
トゥルワドゥルー犯人説を唱えた隊員達が目を剥いた。
「それで僕は、トゥルワドゥルーは犯人ではないという仮説に立って考えてみるようになった。もちろんイッジは、トゥルワドゥルーが犯人だとは、一瞬たりとも疑わなかったはずだ」
もしそれを疑っていたのなら、さっきのような話、つまり宝石の入った袋の話は飛び出しては来なかっただろう。
そんな後ろめたさとは全く無関係だったわけだ。
「違うのか」と、酔いの回ったンドペキが呟く。
いつもと違う酔いっぷりを見ても、イコマは責める気にはなれなかった。
レイチェルにお守りみたいなものと思われて、実際にパキトポークとアイーナに全く歯が立たなかったばかりか、わずかなうちに八十もの命が失われるのをなすすべなく、ただ走り回っていたのだから。
いや、実際は頑張ったと思う。
もし、次の回があったなら、それなりに対抗できるかもしれない。
でも、ンドペキは自分のふがいなさに打ちのめされている。
少々の酔いっぷりは大目に見るのが情けというもの。
「なぜなら、レイミの死に不審な点がまだあるから。レイミの死体の状況、思い出して欲しい。少し考えれば誰にでもわかる」
イコマはビールを口に運び、喉を潤してから、オリーブの実沢山のアヒージョに箸をつけた。
こいつやっぱり、嫌な奴だった、というンドペキの呟きが聞こえてきた。
耳が痛い。
しかし、もうそろそろ自信を持ってもいいかもしれない。




