458 パパは回りくどいから
「という前提に立てば、犯人像は一気に絞られる。さっきも言ったように、アンドロであるタァーレルではない。それに、イペでもない。マトだ。もちろん、これまたアンドロであるイエロータドでもない」
「パキトポークやアイーナではない。ジェドリとニェメトでもない」
コリネルスの合いの手。
「そう、その通り。今消したばかり」
イッジが立ち上がった。
「でも、彼じゃないわ!」
チョットマがイッジと繋いだ手に力を込めた。
「パパは回りくどいから、最後まで、ね」
なんだよ、それ。
もっと他に言い方はないんかい。
まあいい。
「気持ちは分かる。でも、今は話を聞いてくれ」
その言葉が終わらないうちに、隊員がひとり声を上げた。
「彼には、動機があった。レイミに脅され、レイチェルの宝物庫から宝飾品を持ち出しては与える。そんな屈辱を味わう羽目になっていた。彼は紳士だ。そしてイッジを愛していた。婚約者であるイッジに知られることを第一に恐れた。だからレイミの脅迫を拒めなかった。いつ終わるとも知れない脅迫に」
そしてまた別の隊員が言った。
「動機も、手段も、トゥルワドゥルーには揃っている。言わずと知れたパリサイド。元パリサイド軍のトップ。武力に疑うべきところはない。ソウルハンドを使えたとしても全く驚きはない」
そしてまた別の隊員が。
「トゥルワドゥルーの最期。アイーナに抱きついた。あれは、ソウルハンドを」
そしてンドペキ。
「しかし逆襲され、空しく命を落としてしまいやがった。その時、あいつが何を考えていたのか。何となく思うな。イッジに自分のしでかしたことを悟られてしまった。もう、結婚の話は無かったことになる。それなら、ここでイチかバチか、自分ができることをして世に報いよう、と。思えば、あいつはいい奴だった。イエロータドが惚れこむのも無理はない」
次々に発言する声。
「トゥルワドゥルーの気持ちを考えると、胸が痛い」
「不可抗力ってことじゃないかな」
「むしろあの人こそが被害者じゃないか。さっき、イッジが言ったように」
イッジは、声がするたびに目を向けた。
その肩が震えていた。
きっと、怒りで。




