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455 あの時、あの場所で香っていたもの
「イエロータド、あの時、あの場所で香っていたもの。イペから発せられているものと知ってたんだろ」
「……」
「パーティの夜も香ってたはずだ」
「……ああ」
「しかし、だからと言って、イペが犯人。そう決めつけるのは間違ってるんじゃないか。きっとあんたは、トゥルワドゥルーから僕の目を逸らそうとした。だよな?」
イエロータドは、むうと唸ったまま、再び平伏した。
イペは色を失って俯いてしまっている。
「一体、何が言いたいんや!」
と、またンドペキ。
「トゥルワドゥルーが犯人なのか? イペなのか? それとも」
イコマはンドペキを再び無視して、
「いろいろ聞いてみると、分かってくるもんやな」と、微笑した。
ここ二週間、痛みと闘いながら考え続けて得た仮説は、次々と真実味を帯びてくる。
そんな気がした。
イペがあのナイフを自分の物だと認めたことで。
「現場に、イペの香りがしていたからって、イペが犯人、なんて言ってないよ。なぜなら、事情徴収にイペも呼ばれてたんだから。犯行時の残り香でも何でもない。その場にいたんだから、イペは。匂って当たり前」
やっぱりおまえは回りくどい。
そう、わめきだすンドペキをスジーウォンとコリネルスが押さえ込んでくれた。
ありがたい。




