450 ビギナーパリサイド
「元アギで、僕がそうだったように、パリサイドの身体を得た。しかし、宇宙船には乗り込まなかった人々に含まれる」
「それは聞いたわ」
「想像するしかないが、いつか奴らは、シェルタの財宝を見つけたんだな。それでそこに住むことにした。もしかすると人々の間に争いが起きたのかもしれない。それに勝利し、財宝のベッドは彼らのものになった」
「それも聞いた」
「そか」
これもレイミ殺害に関係することではない。
しかし、整理しておく、つまり容疑を完全に潰しておく必要はある。
「真の闇でのたった二人の生活。レイチェルのさっきの話では、あのシェルタは大いなる墓場。そこに彼らは長く居すぎた。おかしくなってしまったんだな」
「パリサイドになって?」
「元々身体はパリサイド」
僕たちと同じように、ロームスの力が弱まったことで、誰かさんの身体を得た。
しかしロームスの力がここにも及ぶようになって、海の底に潜って行った者と同じように、彼らも再びパリサイドの身体に戻れるようになった。
「その二人、男と女が入れ替わってたみたいなんだって?」
「気が狂っていたのかもしれない。自分と相手を混同するくらいに。あるいは、人の身体には戻ったものの、非常に不安定なものだったのかもしれない。分からないさ。でも、もうどうでもいいこと。じゃないかな」
「なんだか、人騒がせね」
「ああ。でも、彼らも少しは役に立ってくれた」
「えっ、そう?」
「財宝の存在、それが明らかになった。そしてここユーペリオンにもロームスの存在があることを思い出させてくれた」
「まあねえ」
「そしてもうひとつ。明らかな攻撃、つまり、メダカシップやスミヨシへの攻撃は、ジェドリとニェメトではなく、百人のパリサイドでもなく、未知のパリサイドが二人、仕掛けてきているんだと教えてくれた」
「そうか」
アングレーヌにはわかっている。
洪水で溺れ死ぬような者が、メダカシップやスミヨシへの攻撃など、できるはずがない。
岩盤崩壊もそう。
以前からパリサイドの身体を持っていたスミソだけでなく、初めてパリサイドになったアヤやチョットマでさえ水中活動ができたのに、ジェドリとニェメトは水が溢れたくらいのことで溺れ死んだのだ。
どんな能力も持たないビギナーパリサイド。




