446 「あり得ない」と吼えた
「シルバックとジルは女性ならではのネットワークと手練手管を駆使して聞いて回ってくれた。見落としたことはないと思う」
「手練手管って、なによそれ」
と、シルバックとジルが口を尖らせた。
「まあまあ、言葉の綾。で、皆、どう思う?」
ここも、異論は出ない。
当然だ。
誰も今さら、そんな藪の中からから犯人が飛び出してくるとは思っていない。
一応は潰しておかなければならなかっただけのこと。
「次は、バーの中だ。これについて、イエロータド、どう思う? 誰か、もしかして、という心当たりはあるかな?」
目を白黒させるかと思いきや、イエロータドはこの問いにはきっぱりと、いや猛然と、「あり得ない」と吼えた。
「身内贔屓じゃなく?」
「当たり前だ。そんな雰囲気が少しでもあれば気づく。俺はこう見えても」
「ああ、もういい、言わなくても」
もとよりその可能性が限りなくゼロに近いことは知っている。
もし可能性があるなら、サリがそう言っただろう。
だろうな、と言っておいて、イコマは話を進めた。
「行きずり犯人説はどうだ?」
「あり得るかも」
と、イエロータドは言うが、聞いておいてイコマは、
「ない」と、否定した。
「そんなはずはないんだ」
不自然すぎる。
「行きずり犯人説を葬り去る理由は、後で言う。ないと思っていい」
と、念を押した。
イコマはあっさりのその話題を終了して、甘エビの刺身を口に入れ、尻尾の中身を啜った。




