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444 あなたに罰を与えます
そんなことだろうと思っていた。
でも、言わなくてもいいことだったのでは。
水系に放り込んだのはトゥルワドゥルー。そういうことにしておいてもよかったのに。
頭を下げたままのイッジに、レイチェルが語りかけた。
たった一言。
「許します」
えっという顔で、イッジが目を上げた。
「どうせ、役に立たないものだから」
「それでは……」
「それでは? 何ですか?」
「罪人を罰する。それは当然こと。私がどんなに悔いていようが、罪は消えません。どうか私を罰してください。社会の秩序として」
なおも言い募ろうとするイッジをレイチェルが制した。
「では、あなたに罰を与えます」
「はい」
「トゥルワドゥルーのことをできるだけ早く忘れなさい。辛いだろうけど。それがあなたへの罰です。コリネルス、いいかな?」
コリネルスが、結構かと存じます、と微笑んだ。
「それから、イッジ、これは貴方のお母さんの形見でしょ。大切にしなくちゃ」
と、レイチェルはイッジにその袋を押し付けた。
「い、いいえ! そんな」
「そんな、なに?」
「とんでもないです! いただくわけには」
イコマは早くイッジを座らせようと、間髪を入れずに次の話題に移った。
「では、次の話に移ろう。トゥルワドゥルー犯人説はまだ消えていない。それを念頭に置いて」




