427 シェルタについて
「遅刻したかも!」
双子のようなサリとアングレーヌは駆け込んでくるなり、ヘッダーを放り投げた。
防衛部の広間、ここが会議の場。
「お嬢様方、レイチェル閣下のご挨拶が」
イエロータドの咳払い。
レイチェルは、大切なことを言おうとしているのか、いつになく難しい顔で、目があんた達、早く座りなさいよと言っていた。
「シェルタについて、知っておいて欲しいことがあります。あそこは」
イコマはすでに聞いていたことだったが、レイチェルはやはり公表しておきたかったのだろう。
「シェルタ、あそこに避難することは考えられません。その理由を話します」
ホメム、すなわち純正の人類の最後の生き残り、その墓場だという。
そうだったのか、という声が上がった。
「ここ三百年間の間に亡くなったホメムはあそこ、シェルタに眠っています。実際は骨だけなんですが、その骨が数百体分、納められているのです。私は、そんな骨に意味はないし、神聖な場所だなんて思いませんが、屍の上に人が住むわけにもいかないと思ったわけです」
洞穴という洞穴、もうすでに微生物の力によって分解され、あるいは水に溶けて跡形もないかもしれないが、その上に寝る者の気分はよろしからぬだろうという。健康に良くない影響があるかもしれないし。
「墓荒らしを恐れたりはしませんし、そこに魂が残っているなど、ばかげた考えもありません。ですが、避難所にするのは、あり得ないと思っていたわけです」
ここユーペリオンで暮らしていける限りは離れるつもりはない。
ここを離れざるを得ないほど、究極の選択を迫られた時には考えるけど、とレイチェルは話を終えた。
「では、前置きはその辺にして、始めましょうか。いい? イコマ、準備は?」
「いつでも」
レイミ殺害事件を解明する時がやって来た。




