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425 散歩 一緒に行こう
死後の世界。
そんなものがあるとは夢にも思っていなかった。
しかし、あったのだ。
この宇宙を拡大させていくという、とてつもない使命を持った者たちの世界が。
イコマはそれを二度見たことになる。
極寒の世界。
暗闇の世界。
もう自分というものはない。
あるとあらゆる生命から生成された素粒子シンラと、それが生み出すエネルギーだけが存在する世界。
地獄。
人が人である続けるために、大切な感情のひとつ。
愛。
それはシンラを最も効率的に生み出す意識。
ロームスは「人」を研究し、その言葉を学び、その事実を知ったのだ。
だからロームスは、己にはない愛という感情の意味、そして愛という感情とシンラとの関係を知りたがり、そして己自身もその感情を求めたのだ。
「さあてと、行こうか」
「え、もう? 会議まで三時間もあるよ」
「散歩。遠回りして。一緒に行こう」
「うん!」




