405 恐怖というものを全く感じない
アヤとチョットマの前に立ちはだかるや、仁王立ちになって、盾の構えをとった。
セイバーを高く掲げた。
パリサイドよ!
僕を切れ!
あわよくば、チョットマ、その隙をついて敵を仕留めろ!
目の前には人っ子一人いない。
死体も転がっていない。
エアポケットのような場所。
ガーデンの側壁に面した聖火台のような高台。
広場を見渡すことができる。
何とか間に合った。
やっとこれで自分ができる最善のことができる。
まさか。
消えてやしないだろうな!
不安になって振り返ったが、まだそこにアヤとチョットマは立っていた。
ピクリとも動かなかったし表情も見えないが、イコマは安心してまた前を向いた。
もうすぐ。
いやまさに今かもしれない。
自分は死ぬ。
これまで……。
アヤ……、チョットマ……。ユウ……。
いろいろなことが脳裏に浮かんだが、それらを心の中から消し去った。
感傷的になっている時ではない。
自分の死について、考えたことはなかったが、今まさにそれが目の前に迫っている。
それでいい。
これでいい。
恐怖というものを全く感じていないことに気がついた。
ヘッダーの中で叫んだ。
さあ来い! ロームス!
ふと頭に閃いたことがある。
後ろの二人は……。
えっ。
ニニ?
アンジェリナ!
頭が混乱したが、どうでもいい!
アヤとチョットマの盾になることに集中するのみ!
たとえ追いつけなくとも、パリサイドの動きを察知して、前に回り込まねば。
いや、回り込めなくてもいい!
ロームスはきっと前衛となっている僕に切りつけるはず。
さっきのボニボニのように。
その隙に、チョットマ!
頼むぞ!




