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400 チョコレート、あれは台無し

「キャンティが消えたとき、あんたそういや、あまり驚いてなかったよな」

「いや、驚いたぞ」

「あんた、知ってたんだろ。パリサイドが死ぬときはああいうふうだって」

「もちろん。でも、まさか、ここに来てもそうだとは思ってなかった」


 あの時点ではまだ、今ほどロームスの存在は注目されていなかった。

 トゥルワドゥルーの驚きは、イコマの驚きとは違う意味での驚きだったわけだ。

 納得できる。一応は。



 ただイコマは、トゥルワドゥルーからまだ聞き出せていないことがあると感じていた。


 この男の口からサスケイの名が出たことはない。

 部下が、しかもレイチェルのシェルタに同行させていた部下が自首したというのに。


 奇妙ではないか。



 レイミのこと、サスケイのこと、そしてシェルタに行っていたこと、それらはトゥルワドゥルーにとって、不都合なこと。

 口にしないのは理解できるが、それ以外にもこの男には人に言えない何かがあるように感じるのだった。



 温厚で人のいい、しかも紳士。

 権力者でもあるこの男が持つ秘密。

 それが事件に関係するしないに関わらず、気になっていた。


 しかし、その秘密とはどういう種類のものだろう。

 レイミが殺された前後のこと。

 これはもうすぐ明らかになるだろう。シルバックやジルが調べてくれるはずだ。


 自分が知りたいこととは、何だろう。


 トゥルワドゥルーの内面的な、心のありようといったことだろうか。

 この男の考え方、といったことだろうか。

 もう少し深く付き合えば、見えてくるのだろうか。



「そういや、チョコレート、あんたが希望したやつ。あれは台無しだ」

 と、トゥルワドゥルーが話題を変えた。

「ん? そうか。まだあそこに?」

「そうらしい」


 トゥルワドゥルーはイッジから聞いたんだが、という部分をことさらに強調してから、

「まだ閉じ込めているらしい」と言った。


「誰か、分ったのか?」

「いいや。イッジはこう言うんだ。すべての危険を事前に排除する」


 排除などと、物騒な言葉を使ったらしい。

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