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395 お向かいさんか

「これくらいにしとく」と、スゥが腰を伸ばした。

「瓦礫の壁ができたら、ちょくちょく取りに来れなくなるかなあ」

「あんまり人に見せるなよ」

「どういう意味?」

「貧富の差が激しいからな」

「あ、そういうことね」



 ユーペリオンでは、物持ちとそうではない人の差が激しい。

 パリサイドだった者は元々宇宙船に積み込んでいた自分のものを持ち出しているし、スゥのようにエリアREFに住んでいた者もそうだ。


 それが問題になることはなかったが、それは誰もが必要以上のものを持ち出したりせず、節度ある暮らしをしてきたからだ。不便ではあっても、食うに困ることはなかったからだ。

 しかし、これからはそうもいくまい。

 窮乏生活が長引けば、貧富の差はクローズアップされるようになる。

 物を持たない人々、つまりエリアREFに住んでいなかった地球人類の不満が募ることになる。


「せいぜい気をつけますって」




 部屋を出てしばらく行ったところで立ち止った。


「この辺りかな」


 スミソに運ばれて倒れていたところ。

 イペとサスケイに助けられたところ。

 あの時は意識が朦朧。記憶が定かではない。


「そうかもね」

 スゥの関心も薄い。

 確かに、もうどうでもいい。


「ボニボニも何か取りに来たんやろか」

 と、スゥが目をやった部屋。


「へえ。そこ? ボニボニの? ご近所やったんやな」

「そうよ。この辺り、あまり人が住んでなかったから、近所付き合い、それなりにあってんよ」

「近所付き合い? 郷愁をそそる言葉やな」

「会えば挨拶程度はする。そういうこと。で、ここがイペの部屋」

「ほう。ボニボニのお向かいさんか」

「それも古風な言い方ね」



 防衛部に戻ると、ンドペキが難しい顔をしてセイバーを振り回していた。


「これ、どうやってエネルギー、充填するんや?」


 イッジが離れたところから満足そうに見ていた。

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