表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

454/564

454 旨かった さすがや 見直した

 レイチェルへの報告を終え、外に出るとイエロータドと出会った。


 どんな時でもバーのマスターらしく、白いシャツにベスト、真っ黒なスラックスを穿いているイエロータドだが、今日はエンジとネイビーのチェックのワーキングシャツ。


「味噌汁、よかったぞ。旨かった。さすがや。見直した」


 イエロータドを褒めちぎった。

 本当に見直していた。


 それもあるし、チョットマのためにイエロータドを味方につけておきたいという気持ちも少なからずあった。

 あれほど機転が利いて、実行力もあるイエロータドなら、チョットマがいざというとき、力になってくれそうな気がした。


「チョットマが世話になったそうやな」

 などと、世間話もしておかねば。


「何のことだ? そう言われて悪い気はしないがな」

 イエロータドは、上機嫌で、

「ところで、レイチェル閣下は今、忙しそうか?」と、聞いてくる。



「ああ。僕もちょっと報告するのに、かれこれ一時間も待たされた」

「そうか」と、イエロータドは地面に座り込んだ。


「脚が疲れて」

「報告、急がなくていいのか?」

「ああ」



 イコマもイエロータドの横に腰を下した。

 人々は行き交っているが、こちらに注意を向ける者はない。

 心置きなく話せる。


 イエロータドが、石ころを拾い上げながら言った。

「ところで、レイミの件、どうなってる?」

「気になるのか?」

「まあな」



 先日までとは形勢逆転。

 チョットマに話したことが、こちらの耳にも入っていると承知の上だろう。

 ただ、その前提は念押ししておこう。


「チョットマから聞いたぞ」


 イエロータドにとっては、まあな、どころではないだろう。

 犯人隠匿罪、と言ってやってもいいくらいだ。


 しかしそうは言わなかった。


「レイミの件、あれきり、進んじゃいないさ。ボニボニもそれどころじゃない」

 と、安心させてやればいい。

 実際、それどころではないわけだから。



「そうか」と、イエロータドはひとつ小さな溜息をついた。

 横顔がどこか寂しそうだった。


 初めての友人が罪人かもしれず、嘘のつけないアンドロとしては胸が苦しいのかもしれない。

 バー再開の目途は立たず、チョットマにも振られた。

 よれよれのワークシャツ姿のイエロータドは、まさしくどこにでもいる太ったオヤジになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ