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387 さあ、二人とも、もう寝なさい

 チョットマが語るところによると、二年前に宇宙船スミヨシの甲板で話をしていた時より、随分話し方がぎごちないという。

 一方的に短い言葉を投げかけてくるだけで、会話は成り立っていないらしい。


「さっきも声が聞こえたの。いつもより少しだけ長かったけど」

「どんな?」

「こんな感じ。邪魔が入った。あいつめ、こちらの考えも知らずに余計なことを」


 ふむう。


 邪魔とは、すなわちキョー・マチボリーのこと、なのだろうか……。


「最後にこう言ったわ。黙らせてやる」




 イコマは迷った。

 チョットマにロームスとの会話を止めるように言うべきだろうか。


 好き好んでロームスと話をしているわけではない。

 たとえ、コモレビーなどという名前を付けたとしても、それは彼女の無邪気さがそうさせただけのこと。


 そう思いたかった。

 そう思うことにしよう。


 それに、ロームスと話をするなと言っても、一方的に聞こえてくる声はどうしようもない。

 今、キョー・マチボリーの声を聞いて経験済みだ。耳を塞ぎようがない。



 かといって、コモレビーにもう話し掛けてこないでとチョットマに言わせるわけにもいかない。

 奴に怒りや恥という感情があるなら、そんな危険なことをさせるわけにはいかない。

 奴が何を思うか、知れたものではない。



 チョットマが見せたさっきの瞳の輝き。

 自分とロームスの関係を肯定して欲しいという気持ちがあったことは確か。

 今はもうその輝きは失せてしまっている。

 認めてもらえないと感じさせたに違いない。



 ああ。

 チョットマに何と言えばいい。


 ああ。

 なぜチョットマがそんな目に合わなければいけないのか。


 なぜなんだ。

 なぜ、チョットマなんだ。

 なぜ、チョットマはロームスにとって特別なんだ。



 辛くて堪らないのはチョットマ本人。

 なのに、いい助言を与えることはおろか、励ますことも、慰めることさえできない自分がもどかしい。


「ありがとう、チョットマ。打ち明けてくれて。ロームス、いやコモレビーか、が話しかけてきたら、また教えてくれ。そいつの言葉の意味を一緒に考えてみよう。さあ、二人とも、もう寝なさい」


 ああ。

 見守るしかないのか。

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