384 愛する気持ち……
「スゥの気持ち、よく分かるよ」
最後のパンの欠片でオリーブオイルを余すことなく拭き取ったユウ。
「実はね、スゥはイッジに悪い印象は持ってないねんなあ。態度は正反対やけど、それはイッジに対する気持ちの表れ」
イッジ。
本当の意味での正義漢。
不器用で傲慢かつ頑な。
そう見えるが、それはある意味、母親であるアイーナ譲り。
スゥはそう見ているというのだ。
「私もそう思う」
と言いながら、ユウが立ち上がった。
「お言葉に甘えて、休ませてもらうとするか」
後ろから腕を回してきて、耳の下にキスしてくれた。
「ああ、ゆっくり休めよ」
「アヤちゃんとチョットマも休ませてあげてよ。でもその前に、少しだけ話を聞いてあげて」
「分かった」
イコマは首に回されたユウの腕にキスした。
「さっきの話、ノブとスゥに任せる」
「ああ、おやすみ」
アヤとチョットマから聞いたユウの話。
ユウのこの六百年。
愛する気持ちか……。
ロームスに対抗するために……。
そうだったのか……。
そうやって何度も何度も、いつもいつも僕のことを……。
しばらく口を開けないでいた。
何かを話そうとすると声が震えそうで。
潤んだ目を隠そうとして両手で顔を覆った。
その時、今の感情とは全く不似合いな言葉が浮かんだ。
ロームスの粒子を体内から排除する。
ん?
なんだ? 今のは?
どういうことだ?
なぜ、唐突にそんなことを思い浮かべたのだろう。
目の前のアヤがくたびれたように、あくびをかみ殺している。
もう寝かせてあげなくては。
「さあ、二人ともお休み」
アヤは立ち上がったが、チョットマはまだ話があるようで、すっと顔を上げた。




