444 ボニボニでは無理
スゥはンドペキとレイチェル、そしてサリのために弁当を作ると張り切っている。
イコマも自分のシフトを決めた。自分の行動は、ユウに合わせて。
コリネルスとも話をつけた。上手くいくだろう。
イコマはこれまでのことを話した。
ニューキーツでのサリ失踪事件や、エリアREF、かつてサントノーレと呼ばれた街でのセオジュン失踪事件、パリサイド星域でのプリブ連行事件も、今にして思えば謎でも何でもなかった。
最後には解明したとはいえ、次第に明らかになる事実を繋ぎ合わせてみれば答えが見えてくる、そんな事件だった。
自分はそれを整理し、最も確からしいという解を見出し、結果的にそれが正解だったというだけのことにすぎない。
今回は、明らかな殺人事件。
しかし、残念ながら今の自分には、正解どころかたった一つの仮説さえない。
ひとりでは無理だ。
ユウ、スゥ、頼む。ホームズ役をやってくれ。
アヤ、チョットマ、お前たちでもいい。そういう役はどうだ。
チョットマからイエロータドとの会話の内容を聞いた。
スゥの実況中継風想像話は、的を得ていた。
そうか、トゥルワドゥルーが。
そういえば、あいつ、こんなことを言ったことがある。
レイミ、ジェドリとニェメトの三人、グルだったんじゃないかな。
シャルタにある宝物庫から、貴金属などを持ち出している一味の。
で、仲間割れでもしたんだ、と思うと。
あの時、唐突なその話に違和感を持ったが、イエロータドの入れ知恵だったわけだ。
とすれば、トゥルワドゥルーには後ろ暗いところがあるということに他ならない。
つまり、あいつ自身が盗みを働き、奪ったものをレイミに渡していた。
これはほぼ間違いない。
レイミ殺害の立派な動機になる。
昔の時代劇なら、しょっ引いてこい! となるが、盗みにしろ殺しにしろ、証拠は皆無。
ボニボニの追及でトゥルワドゥルーは口を割るだろうか。
とても無理。
そもそも、ボニボニはトゥルワドゥルーと懇意。追求しようとはしないだろう。
するつもりなら、もうとっくに事情を聴く程度のことはしていていいはず。
それさえしないところを見ると、ボニボニはトゥルワドゥルーにお縄をかける気などさらさらないというわけだ。
サスケイが自首してきたことを幸いに、事件の幕を引くつもりなのだ。
だからと言って、ボニボニも責められるものでもない。
頭をどう捻ったところで、自首してきたサスケイではなくトゥルワドゥルーがレイミ殺しの犯人だという確信などない。
今やっと、チョットマの話を聞いて、その可能性に思いが至っただけのこと。
それを確信に変えるために、後、何が分ればいいのだろう。
何を発見すれば、自信をもって犯人を名指しすることができるのだろう。
これまでの情報で、犯人しか知りえないことを語った人物がいただろうか。
明らかな嘘をついた者がいただろうか。
いずれもノーだ。




