436 アイデアを出して
イエロータドが出ていくやいなや、レイチェルは怒らせていた肩をがくんと落とし、
「ハアァ」
と、息を吐きだした。
「イエロータドには、いついかなる時も私に面会できる権限を与えているのよ。昔から。でもさあ、ンドペキ、ちょっと驚いた? 私の態度に」
「いや、お前、いや、レイチェルらしくていいと思うよ」
「お前でいいのよ」
「なんや、いつもながら苦労してるみたいやな」
そうなのー、とレイチェルはわざとらしく口を尖らせて、唇の先からヒュルルーと息を吐きだした。
「キャリーだったころは、ああいう風にイエロータドに接していたのよ。レイチェルになったからって、変えられないでしょ。実際、イエロータドはキャリーに仕えてると思ってるみたいだし」
分かるような気がする。
あの嫌味な男を使うには、それなりの接し方があるのだろう。
いつものレイチェルのように、ねえねえ、なんてやっていたら、奴は動かないのかもしれない。
「じゃ、話を元に戻すわ」
レイチェルが椅子に座り直し、真直ぐにンドペキを見た。
「これからどうするのがいいか、意見を聞かせて。コリネルスも、お願いよ」
そして、
「イコマ、アイデアを出して」
そして皆も、とユウやスゥ、アヤやチョットマ、サリやアングレーヌにも目を向けた。
アイデアか。
予想はしていたことだが、防衛部の武力で歯が立たないとすれば、はっきり言って、ない。
あるとすれば、宇宙船スミヨシに人々を順次移すことだけだ。ロームスに気付かれないように。
しかし、その先は、となれば言葉に詰まる。
ンドペキは眉間に皺を寄せて、口を一文字に結んだきり、何も言わない。
コリネルスは机に両肘をついて手の平で顔を覆ってしまった。
どう答えようかと思っているうちに、アングレーヌが弾んだ声を出した。




