433 隅には置けないやつ
イエロータドか。
奴も、なかなかやるな。
どうやって調達したのか、さすがはバーのマスター。
このタイミングで味噌汁を配るとは。
常人なら思いもつかないし、たとえ思いついたとしても、実行には移せまい。
「奴、どこにいる?」
「あっちに。ガーデンのど真ん中に陣取ってる。行けばすぐ分かるわ。ヘルシードボランティアセンターって、派手な幟が立ってるから」
さすがだ。
なるほど、薄暗いガーデンにひときわ明るい場所。
そこがイエロータドのボランティアセンターなのだろう。
至るところで市民が味噌汁を啜り始めた。
「カップは捨てないでくださいねー! 後ほど、回収に来ますので」
イペの言葉を聞き分けられる群衆なら大丈夫だ。
よかった。
すすり泣きも止むだろうし、突発的なパニックも遠のくだろう。
ひとまずは平静を取り戻すはずだ。
「イエロータドに伝えてくれ。エリアREFと資材庫の方にも頼む」
イペがにこりとした。
「向かってるわ。そっちにも、ボランティアが」
サリがンドペキに話し掛けている。
「お願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「私、レイチェルの護衛につきたいんだけど……、ダメかな……」
「そうか……」
「レイチェルを守りたい……。私、こんなときこそ……」
レイチェルは断りはしないだろう。
もし断れば、それがどんな理由であるにしろ、サリを傷つけることは間違いない。
レイチェルを襲うという自分がしでかした罪を、サリ自身はまだ償ったとは全く考えていないのだから。
レイチェルはきっと喜ぶに違いない。




