428 散乱した寝具や食べかけのもの
くそ!
これではだめだ!
警察は何をしている!
ボニボニはどこにいる!
これでは大量の怪我人が出るぞ!
既に、いたるところで小競り合いが始まっていた。
「皆さん!」
イコマは声を限りに叫んだ。
「この先も人でいっぱいです! これ以上進んでも、かえって危険です! いったん、ここで落ち着いてください! 立ち止まってください!」
装甲を身に着けていたからか、人々の目がこちらを向いた。
その隙をついて、イコマは一気に足を踏み出した。
「通してください! 道を開けてください!」
大声をあげながら、人波を切り裂いていった。
家族六人、これから楽しいことがたくさんあるはず。
そう思っていたのに!
なぜこんなことに!
六百年経って、やっと、やっと、やっと、手に入れた幸せなのに!
下まぶたに血が溜まるほどの怒りを感じた。
ロームス! 許さん!
と、途端に人波が途切れた。
逃げ惑う人々の後ろ側に出た。
「アヤ! チョットマ!」
浮遊走行装置を起動。
「どこにいる!」
がらんとしている。
岩の荒野に敷かれたマットレスに、寝具や食べかけのものが散乱している。
非常事態だからか、照明だけがやたら明るい。
いったい、どうなっている!
なにが起きている!
防衛部隊員の姿が見えた。
「ンドペキ! スジーウォン!」
ガーデンの最奥部、水系の畔、隊員達の集団の中に二人の姿があった。
戦闘している様子はない。
武器は水系に向けて構えているが、立ち尽くしているように見える。
「ンドペキ!」
振り向いたンドペキが慌てて両腕を広げた。
止まれ!
「アヤとチョットマは!」
「スゥは!」
「無事や!」
「バリケードを壊しに!」




