417 ようやくそこに回って来たか!
「分からん」
イコマの呟きに、キョー・マチボリーが笑った。
「何が?」
「そんな力を持つパリサイドが、岩盤を崩落させた?」
「たぶんな」
「スケール感が違うよな。地球や太陽系を吹き飛ばせる奴が、高々数十メートルの岩盤を落としてうれしいか?」
キョー・マチボリーがまた笑った。
「あんた、ユウの言うことを聞いてなかったんか?」
「ん?」
「だからユウは実験と言ったんや。元パリサイドの、しかも軍に所属していた者なら、誰しもそう思う。私もそう思う」
「だから、何の実験なんや?」
そろそろ結論を。
「そこは分からんよ。ロームスの意思やからな」
そんなのは結論といえないぞ。
「ただ言えることは、こういう状況に追い込まれた人類がどんな行動をとるか、そこにロームスの関心はある。何を確かめようとしているのか、それは分からん」
「あんたのクルー、至る所に配置されてるんやろ。その報告は」
「無茶言うなよ。海底からここに移動するのにひと月は掛かると言ったはずや。レイチェルがそれでは遅い、早くしろと言ったんや。わずか三日で何とかやって来たんや。偵察粒子を送ったのはやっと三日前のことやんけ」
「そうか……」
「レイチェルの演説会になんとか間に合わせたんやぞ」
体の力が抜けた。
そこが分からなくては、対策の立てようがない。
キョー・マチボリーはやけにきっぱりとした表情をしている。
元はといえばかつての自分の表情。分からんものは分からんのや、という顔。
しかたがない。
「それにしても、とんでもない奴を敵に回したもんやな」
つい愚痴が出た。
「ああ。しかしパリサイドは常にそういう状況下で生きてきたんやで」
キョー・マチボリーはまたここで笑った。
「笑いごとかい!」
「すまんすまん」
「人類滅亡、あんたにゃ危機感、ないんかい」
「何を言う。危機感はあるで。しかし、本物の危機は今日、明日のことやない。そんな気がする」
ユウもそう言っていた。
しかし、猶予はあるかもとは言っても、どんな対策もないのであれば切迫していることに変わりはない。
「そんじゃ、あんたの大元の質問、パリサイドの目的、意図、それを阻止する方法、これについて考えてみよう」
おお、ようやくそこに回って来たか!




