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415 怒りっぽくなった理由、今気づいたぞ

「なるほど。よく分かる」

「人間の脳と違うのは、本体がないってことやな。人間の脳に当たる部分が存在しない」


「ネットワーク、そのこんがらがった状態そのものが意識を発する、というわけか」

「そう。さっきも言ったように、粒子の数はそれこそ天文学的な数字を天文学的な数字乗したくらいある。それだけあれば、高度な意識を生み出すこともできるし、科学、技術といったことも、どんどん進化させられる」

「ふうむ。白い霧、そして人の体内に入り込んだ粒子、そいつらが全部繋がっているということか」



 そもそも、意識ってなんや? という疑問にも、人類はようやく解答を見出しつつある。

 意識というもの。イコマ、なんやと思う?

 誰か個人の脳の中にだけ存在する実体のないものか?

 違うんやな。

 宇宙の中に存在する粒子。そのひとつということ。



 一気に面倒な話になってきた。

 しかし、以前ユウから少しは話を聞いている。

 その時は、それほどの苦も無く理解できたような気にはなったが。



「はっきりさせておかなあかんこと。ロームスは、人の感覚で言うなら、たった一人ということやな」

「ふむ。それはさっき聞いた」

「あ、そうか。まあ聞けよ。だからその意思も、ぶれていくことはあっても、全体としてひとつの方向だけを向いているということになる」



 太古の生命体だけあって、その意思の強固さは人間の尺度では計り知れないという。

 粘り強い、変化がない。

 いったん出された指令が、どんなに戦況が変化しようとも変更されることがないように。



「ペースが違うんや。なんというか、時間の観念がない」


 これまではパリサイドも不滅といってよい存在だった。

 だから、ひとつの実験にたとえ百年かかろうともよかった。


 しかし、もう今は違う。

 人は普通に死ぬ存在に戻った。

 そこが心配なんだと、キョー・マチボリーは言う。



「悠長に実験やって、人類が滅亡してしまっては元も子もない。でも、それを見越したかのように、ロームスは百人の市民にパリサイドの肉体を再び与え、深海に潜らせた。これが何を意味するかや」



 崩壊したケーキを食べ終えて、キョー・マチボリーが横目で睨んできた。


「どうも、思考が堂々巡りしている。すまん。さっき喋ったことをまた言ったような気がする」



 どういたしまして。

 イコマの脳組織で話しているからだと言いたいわけだな。

 こっちだって、今気づいたぞ。

 最近怒りっぽくなったのは、キャプテン、あんたの身体をもらったからだ。



「さて、一つ目の質問に取り掛かろう」


 ああ、そうしてくれ。

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