406 辛い思いをしたのね
「でも、人殺しは起きた。どうして?」
つまりは、サスケイはイペだけでなく、レイミとも何らかの関係があったということではないのか。
殺したいほどの何かが、サスケイの胸の内にあったということではないのか。
昔のことではなく、現時点で。
今の何かを理由とする殺意が。
これを聞くことはイペにとって、辛いことに違いない。
しかし聞かずにはおれなかった。
「サスケイがレイミを殺した理由、イペ、本当は分かってるんでしょ」
「えっ、知らないわよ。というか、そうじゃないんだって」
知らないはずがない。
イペ自身、今、「そんな昔のことを根に持って」と言ったばかりではないか。
その言葉をひっくり返せば、「今」にその根っこがあるということではないのか。
「サスケイはレイミと関係をもった。それが原因なのね」
それをイペも知っているのだろう。
「サスケイは、また辛い思いをしたのね」
「違う!」
イペのいつにないきつい眼つきにチョットマは悟った。
図星か……。
そんな昔のこと、だけではなく、今に繋がっている何か。
そしてまたしても、イペも関係しているのだろう。
「サスケイだけじゃなく、イペも辛い思いをしたのね」
レイミが、自分が思っていたほどいい人ではなかったことを、もう知っている。
サスケイもイペもその犠牲者の一人だった、と思い始めている。
「レイミって、ひどい人だったんだね。見かけによらないというか、本当のレイミは」
「そうよ! チョットマも分かった?」




