404 友人であり同僚であるイペのためにも
警察署の話が出たところで、サスケイのことに触れないのは不自然。
「ねえ、イペ、サスケイのこと……」
この問いかけは、やはりイペの心に火を付けた。
「聞いてよ!」
意識して前を行く行列と間を取った。
「ひどいのよ!」
イペが手を握ってくる。
「サスケイが自首したっていうのよ!」
スミソから、そしてパパやボニボニからもそう聞いている。
「そんなことって、ある?」
納得できないのだろう。
握られた手に力が籠った。
「レイミを殺した? あの人が! あり得ない!」
それが事実なのかどうか分からなかった。
むしろ、そういうこともあるのでは、という気持ちの方が大きかった。
イペに向かって、迂闊なことは言えない。
「そんな昔のことを根に持って。それに、人を殺すなんて。そんな人じゃない!」
イペの剣幕を前に、黙っていることしかできない。
「なにか間違ってるのよ! 警察は!」
しかし、サスケイが自首してきた以上、背景があるはず。
実際、サスケイはレイミを殺していないとしても、殺したいと思うほどの、何かが。
大昔のことなのか、ユーペリオンでのことなのか。
サスケイがどんな話をしたのか、あらましは聞いている。
もっとちゃんと聞いておけばよかった。
今のイペに、意味のあることを話しかけることもできたかもしれない。
サスケイが罪に問われることを期待する気持ちはもちろんない。
ただ、真実を知りたいとは思う。
友人だと思っていたレイミのためにも、そして友人であり同僚であるイペのためにも。
そして犯人と疑われ、今は死体となったタァーレルのためにも。




