400 そんな恐怖に縛られていたのか
「そんじゃ、次。四つめと行こうか。これは単純な話」
あっさりキョー・マチボリーは次の話題に移ってしまう。
「キャンティは生粋のパリサイド。たまにあるんや。消されるってことが。もちろん、ロームスに」
しかたがない。
こいつのペースについていくしかない。
「消される。不穏な言い方やな」
粛清、という言葉が浮かぶ。
ロームスめ、本当に何様なんだ。
「消される理由はロームスの胸の内にのみある。つまり、分からんというのが通例やな」
ということは、ロームの意に添わぬことをしたということなのか。
恐ろしい。
パリサイドの世界。
純正のパリサイドは常にそんな恐怖に縛られていたのか。
まさか、アングレーヌも。
ユウの気持ちを持ったパリサイド。
彼女の優しさは身に染みて分かっている。
アングレーヌ、いつ何時粛清され、消されるかもしれないという恐怖の中で接してくれているのか。
ロームス、なんと邪悪なやつ。
なるほど、こんなやつなら、神として崇拝する連中がいても不思議ではない。
筋金入りの邪悪教。
消されたキャンティ。
かわいそうに。素敵な娘だったのに。
あの娘の行動の何がロームスの気持ちを逆撫でしたのか。
直前にキャンティがとった行動、それははっきりしている。
タァーレルと共に、ベータディメンジョンに行ったこと。
これか?
違う気がする。
タァーレルとキスしたことか?
そんなことで?
そんなことで消されるのなら、イッジはどうなる。
トゥルワドゥルーとキスもしたことがないのか?
アングレーヌはこれから誰ともキスもできないのか?




