399 この事件の解決はイコマ、あんたの仕事
それでも、現在の異常な状況の始まりがレイミの事件だった。この事実は変わらない。
ここを明快にしないと、サスケイが、という提示された解答に飛びつくのは早計、と思うのだった。
そもそも、これまでの「ロームの実験」に、殺人事件というようなプロローグはあったのだろうか。
これをキョー・マチボリーに聞いてみた。
「人殺しはあれで終わりなんやろか」
「言い切れるもんか。もちろん、ロームスの実験にその章はなかったかもしれない。奴が意図した状況が、ああいう事件を誘発した、と考えられないでもないけどな」
「ふうむ」
「実験。これには二つの類型があるように思っている。あくまで私見や」
「うむ」
「まずは人の身体、つまりパリサイドの身体を進化させるために与えられた試練。ロームスが作り出したパリサイドという肉体の性能実験みたいなもんやな。もう一つは、人類という宇宙生物を知るための実験」
「なるほど。よくわかる」
「現在の状況がやつらの実験、と仮定すれば、この二つの類型に当てはめてみるとき、後者に分類される」
「なんやろうな。で、レイミ殺害事件は、人類を知るためのその実験の中で、どういう位置づけになる?」
「さあな。犯人を特定できたら、分かってくるんやないか? プロセスの中で分かってくるのか、結果から導き出されるのか、別にして」
「なんや、水臭い言い方やな」
「とりあえず、この問題は置いておいて、次に行こう」
「ん? なんでやねん」
つまり、キョー・マチボリーにもこれといった推論も仮説もないのだ。
実のところ、自分にしてもそれほど真剣に考えてきたわけではない。
いろいろな出来事があって、そんな時間もなかったし、新たな情報といってもあいまいなものばかり。
イエロータドの話にしても、真実ではない臭いがプンプンしている。
手詰まり状態、というのが正直なところだった。
「それにな。この事件の解決はイコマ、あんたの仕事やからな。あんたならきれいに解決してくれるとレイチェルも期待してる。ここで種明かしをしても、面白くないやろ」
「別に面白がりたいわけやない。考えてることがあるなら、教えてくれ」
「いや、だから、ないんや」
「はあ」
「だから、その代わり、ロームスの意思について話してやろうとしてるんやないか」
「さいですか」
ふう!




