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388 レイチェルの希望に背くことに

 チョットマが返答に困ることはなかった。


「すまない。ちょっと最近、おかしいんだ。精神が落ち着かないっていうのかな。そもそも、死体の傍で言うことじゃないよね」


 スミソはあっさりそう言うと、無理やりな笑顔を作った。

 でも、長い睫毛が濡れていた。



「僕はチョットマと一緒になりたいと思っていた。でも、もうそれはやめた」


 やはり返答に困った。


「僕は女だから」


 女だから女と結婚してはいけないという法はない。

 チョットマは、背中が泡立つのを感じた。


 私……。


 もし。

 もし。

 もし、スミソにプロポーズされたら。


 私、どう応えればいいのだろう。


 スミソは大好き。

 愛している、と言える。

 大声で。


 でも。



 しかし、スミソから求婚されることはなかった。


「レイチェルの希望に背くことになる」


 たくさん子を産んで人類の再興を。


 そんな……。

 そんな理由で……。


 でも、そうよね……。



「チョットマ、聞いてくれるかな。でもね、僕はこの体を恨んじゃいない。むしろ、感謝して、感謝して、しきれないんだ」


 どういうことなんだろう。

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